[コメント] 新幹線大爆破(1975/日)
3時間を超える超大作において、バランスをとることよりも、力技で押し通すことを選択した勇気と気概には敬服。そう思うと、類型的になりがちな登場人物に、宇津井健、千葉真一、鈴木瑞穂、高倉健、とでかい顔で芝居ができる人をもってきたことは正解だった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ところどころで、フラッシュバックして回想シーンが入るが、それがなんとなく間延びさせるような気がしないでもない。
でも、これがないとやはり犯人たちの人間像が描ききれず、ただのハラハラドキドキ映画にとどまっていたんじゃないだろうか。
最近の邦画でも『レディ・ジョーカー』なんかは、明らかにその部分を手抜いたために、全体としては印象の薄いぼやけた映画になっていた。だから本作が、ストーリー上のテンポとか演出の工夫ということにあまりこだわらず、くどいくらい男たちの生き様を描いていたのは正解ではないだろうか。
犯人役たちは、回想シーンなどでそれなりに日常生活が描かれていたが、国鉄側、警察側の人間は、そういうものは何も劇中では描かれていない。
それでも、司令室との電話で時にはぶち切れて悪態をつき、時には自分を取り戻し「さっきはすいませんでした」と詫びを入れた千葉真一、最後の最後で人命を預かるという自分の仕事の重さを熟知し、それにすべてを費やしてきた男のプライドと無念を辞職という形で示した宇津井健、いついかなる時でも逮捕を優先させる、融通の利かない刑事としての愚直な信念を発揮した鈴木瑞穂。
映画には出てこなくても、なんとなくこの人たちの日常生活がしのばれるような気がした。
そういう存在感を示せる役者たちというのは、やはりたいしたものだ。
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