[コメント] 三大怪獣 地球最大の決戦(1964/日)
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派手に登場した割には、おとなしく何もない富士のすそ野で岩を使ってキャッチボールしているゴジラとラドン。その二人を説得する級長みたいなモスラ幼虫。
そんな中でキングギドラだけが、己が責務を遂行するかのごとく、都会といわず田舎といわず、光線をまきちらして暴れまわる。
そしてたどり着いた子どもの国で、無邪気な子どもに囲まれて、「やっとれんわ」と、さっさと引き上げる大人のように、キングギドラが見えた。
まあ、あれだね。この映画は、「ええっ、シーツ一枚の王女さまの着替えを、志村喬が一人で?」なんてことに、気がそれるようになってしまっては、楽しめるもんじゃないかもしれない。
オマケ★★★この映画では、金星に5千年前に高度な文明があった、という設定になっている。最近のSFものでは、太陽系で地球以外に生命が存在する、あるいはしていた惑星といえば真っ先に火星があがる。ところがこの当時のSF界では、その役割をになっていた惑星は金星であった。
当時の観測から得られた知見では、火星はカラカラに乾燥していて温度も低い。つまり生命に不可欠な「水」がないから火星は「死の星」と考えられていた。一方金星は、分厚い大気、つまり雲に覆われてよくわからないことも多かったが、太陽との距離とその雲のおかげで生命が誕生するための条件、「水」を持っているのでは、と考えられていた。
さらに火星に運河があるのでは、という可能性が否定されたことによって、生命の存在する可能性がある惑星として、金星がクローズアップされた。その影響でSFの世界でも、火星よりも金星の方が人気があった。だから金星人をもってきたこの映画は、立派なSF映画といえる。
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