[コメント] 渚にて(1959/米)
「終末」といえば絶望と欲望の暴発ばかりを描く昨今の映画とは趣が異なる。「リアリティ」という点でこの描き方は興味深い。また、今日の科学的知見から見れば本作の終末への道程は違和感があるが、それが些細なことに過ぎないと思えるだけの深みがある。
直接的な核戦争や核爆発のシーンは一切なく、ゆっくりではあるが避けることのできない滅亡を描くスタイルは、かえって非常に新鮮な感じがした。
またラストシーンに示されたメッセージは、当時の時代背景を考えるとけっこう強烈なインパクトがある。
印象に残ったのは、提督とその秘書の最後の乾杯のシーン。提督が出てきたときからえらい斜めのアングルで撮っているなと思ったが、これは提督と秘書の身長差を考慮して、最後に二人が見つめあって乾杯するシーンで、スクリーンに平行して顔と顔が来るように計算して、あえてそうしてあったのね。近頃では、あまり見かけない演出でちょっと珍しかった。
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