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[コメント] ヒート(1995/米)

まるで池波正太郎の時代劇小説のような、渋くて重厚な、プロ=職人気質の世界を堪能できた。まさに、それぞれの「世界」で、それ、と知られた男たちが真っ向から激突するさまにしびれた。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最初、用意周到に準備を重ね、鮮やかな手並みで有価証券輸送車を襲撃するデ・ニーロ一味。誰一人殺さずに仕事を終える予定が、軽はずみに一人殺害するや、躊躇なく係員を射殺していく。そして仕事を終えた後に、最初に銃撃した仲間をつるし上げる。

アル・パチーノは一味のこの強盗殺人に、殺人がある場合の罪の重さと、目撃者が生存することのリスクを、天秤にかけることができる、冷静なプロフェッショナルな男の姿を感じる。

わずかな危険、いやな感じがあれば躊躇なく仕事から手をひくデ・ニーロ。プロであるからこそ、捕まることなくヤバイ仕事を続けられるが、しかしまたプロであるからこそ、最後の仕事を警察に密告した男をそのままにしておくことができない。これが、犯罪のプロの姿、なのだろうか。

特に私がしびれたのは、夜のハイウエイでデ・ニーロアル・パチーノが出会い、二人でコーヒーを飲むシーンである。二人を中心に回るカメラアングルが少しうっとおしかったが、それでも、存分にヒリヒリする空気を味わうことができた。

ただなあ、夜景とか最後の空港のシーンの背景があまりにもチャチすぎたのが、残念だった。何気ない背景といえでも、映画全体の雰囲気を左右することもあるんだなあと、思った。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)JKF[*] ざいあす[*] kiona けにろん[*]

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