新撰組の「生みの親」といわれる清河八郎を暗殺した、佐々木の視点で、清河の人物像をとらえようとする手法がめだつが、やはりメインは、その清河の生き様とか人物像などではなく、北辰一刀流の達人をいかに暗殺するか、その刺客の執念であろう。

そしてその執念が、笠をかぶった清河が、あいさつのために笠のヒモを解くその瞬間の隙を見出す。

そのことが最後近くでは、カメラをほとんど佐々木の視点からのものにするなど、工夫が見られたが、やや画面が揺れ動いて見づらい感じがしないでもなかった。

それでも、物語の初めの方で完膚なきまでに清河に打ち据えられた佐々木が、ただただ、ひたすら清河を斬る、ということだけを考えていく様は、異様な緊張感に満ちていた。

そしてその暗い緊張感が、清河の浪士組を引き連れての上洛から江戸下向の派手なパフォーマンスをいっそう引き立たせていた。