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[コメント] ひゃくはち(2008/日)

後から考えればそんなわけないんだが、その時はそれがすべてのようにしか思えない。だからゲロ吐くほど必死。そんなひたむきさ、苦しさゆえの輝き。苦しいことは悪いことじゃないんだな。自分には有り得なかった高校時代(トホホ)って意味でも愛すべき映画。
ツベルクリン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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とはいえ、19番、20番では地方大会はともかく甲子園のベンチ入りはできないのだ……。勝者と敗者は紙一重、という世界を高校生の時から本気で体験しているのが強豪校の野球部員達なんだね〜。甲子園の舞台に立つ球児たちの多くはたぶん、そういう報われない部員の思いも背負っている、というのはキレイ事でもなんでもない、それが現実なのだ。監督がハンカチ王子の言葉からバカなマスコミはすくい取れないそういう思いを感じ取ったというのはやはり野球経験者ならではか。

主役の二人にとっても、人生のこの時期にしかない魅力を思う存分フィルムに焼き付けることになったと思う。監督も原作者も年下だった(トホホ)。びっくりです。でもよくこれだけテンポよくまとめたね〜。なんといっても、斎藤嘉樹の雨の中を走りながらの泣き顔が素晴らしすぎる。あんな絵に描いたような泣き顔ができる男子はなかなかいない。

付記:ぜんぜん関係ないけれども、最近の某芥川賞受賞作をたまたま同時期に読んで、「小さな物語より大きな物語のほうが優れているというのは間違いだ」という選考委員の意見にまったく賛成だという気になった。歴史、らしきものに翻弄される人物という設定の、曇りの日の影の如く輪郭のはっきりしないおバカちゃんたちを描いたあの小説より、なんにも考えてないけど部活にひたむきな高校生の物語のほうが、よほど「人生」を感じる。ずっとそのときそのときのすべてを賭けているように見えるからだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] ペペロンチーノ[*]

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