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[コメント] コールド マウンテン(2003/米)

ラブストーリーとしては並+αだが、ここまでリアルに戦争を描いていると、惹きつけられずにいられない。
ダリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ステレオタイプのラブストーリーかと思ってあまり期待していなかったのだが、冒頭の戦闘シーンからド肝を抜かれた。

爆風で服を吹っ飛ばされるところから、煙・泥・血の入れ混ざる迫力ある戦闘。とにかく壮絶。友人オークリーの死を引っ張らない所が残酷さを際立たせる。

戦闘シーンだけでなく、この戦争によって幸せを奪われた人々の描き方も見事だった。生きるために、食べるために、どんなことでもしなければならない人々。また、何が何でも愛する人を守ってゆく人々。

心に残ったのは、食べ物を奪う為に赤ん坊を抱えた女性の家を襲撃した北軍兵士だった。一人の兵士は、本来こんな強奪はしたくなかったのだろう、外に投げ出された病気の赤ん坊に上着をかけてやっている。これが極限状態の彼に出来る精一杯だったのだ。そんな兵士をも女性は撃ち殺す。これも、赤ん坊を守るため、生きてゆくための女性の精一杯の行動だったのだろう。

これでもかこれでもかと残酷な描写が続く中、観客はルビーの明るさに救われる。劇中のエイダと同様に。逞しくて明るく、そして切ないレニー・ゼルヴィガーの演技は素晴らしい。

さて、「ラブストーリーとしては並+α」と書いたが、前半の二人が惹かれ合ったいく段階は非常に良かった。特に、自分に素直になれずにインマンに挨拶することが出来ないエイダが、馬車から荷台に積んだピアノを弾きながら通り過ぎるシーンは秀逸だった。

ベタなストーリーだとは思いつつも、「頼むから二人を生きて逢わせてやってよ!」「ティーグ一味を何とかしてくれ!」など、図らずもハッピーエンドを望んで二人を応援してしまうあたり、制作側の策略に嵌まってしまったようだ。

残酷なシーンが多い上、結局ハッピーエンドとは言えない結末になってしまっても、決して後味は悪くなく、なんだか心が温まるような不思議な作品だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (10 人)セネダ sawa:38[*] IN4MATION[*] ruru 直人[*] ミルテ[*] プロキオン14[*] 甘崎庵[*] 映画っていいね[*] makoto7774[*]

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