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[コメント] 映画 ドラえもん のび太の恐竜2006(2006/日)

声優一新で原点に還った、普段着のドラえもん。
ダリア

近年のドラえもん長編映画では、「主要人物のコスプレ」が定番となっていた。具体的に何作目以降なのかは未確認だが、いつの頃からかドラえもんやのび太達は、マントをつけ、鎧を着込み、時に動物のぬいぐるみを着るようになった。話の中盤でそういった特別な「衣装」を着け、その後はそのままの格好で冒険してゆく。

こういったコスプレ傾向は、子供の変身願望を叶えるのに有効な手段だったのかもしれないが、私は個人的に辟易しつつあった。

というのも、私は『ドラえもん』という物語は、日常的な出来事が全てのベースになっていると考えるからである。主な舞台はのび太の部屋であり、皆が集まる空き地であり、学校であり、その裏山であり。彼らはそこで生活し、遊び、友情を確かめ合い、時に冒険する。ドラえもんが便利な道具を出すも、日常生活の中で起こる出来事のドタバタへのスパイスであり、普段の彼らの生活がメインなのである。

たとえ舞台が外国へ移ろうが宇宙へ行こうがジュラ紀のジャングルであろうが、それはあくまでも彼らの日常の、彼らのいつもの冒険の延長線でしかないのだ。彼らにとっては、学校の裏山での冒険であろうがジャングルの冒険であろうが、それはどちらも同じ「冒険」なのだ。彼ら────そして多くの子供達(観客)にとっては、冒険に大きいも小さいも無い。心躍る、ワクワクするような冒険であれば、たとえそれが家の裏の林の中であろうと、鎧やマントを身にまとってなかろうとも、大冒険と呼ばれる旅なのだ。

そういった意味で、わざわざコスプレをする必要も無く、いつもの普段着のままで進んでゆくのび太達の大冒険というのは、非常に好感が持てた。

声優一新して再出発したドラえもんが、原点に戻ったように感じた。

(評価:★4)

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