コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] もののけ姫(1997/日)

宮崎駿作品の中ではかなり見ごたえのある一本。たたり神、太古の神やサン、アシタカを映像化してみせるには実写では役不足だろう。
terracotta

良くも悪くも、日本だから生まれた作品と思いたい。この作品を他の宮崎作品と隔てる特徴がいくつかあると思う。

生理的に汚いと思わせるものが冒頭から出てくること。ナウシカですら、生き物たちは奇妙な形をしていこそすれ生理的嫌悪を抱かせるほどではない。冒頭でこのようなものを見たとき、やってくれた、とちょっとうれしくなった。

単純な勧善懲悪ものでないこと。アシタカは死にいたる病を身に潜めて旅立つ。ただ単に自然を守れ、という主張だけでなく、生きていくための営みを否定しないこと。そしてどのような力をもってしても、その営みをやめさせることができないこと。ラピュタでは人々は自然と共生しているように見えるし、ナウシカでは自然と戦いその報いをうける。

救いを描いていないこと。神は救う神ではない。この辺は外国では理解されているのだろうかと疑問に思えるのだが。正直、この映画のどこにも救いは見当たらなかった。そういう意味ではとても叙事的な作品とも言える。

うーん他にもサンとアシタカの関係など他に類を見ない点がいくつかあるような気がする。

まぁここまで日本人にとっての神様というものを的確に描いてくれた映画も少ないと思うし、その意味では非常に見ごたえがアル。説教くさいという意見もアル。それまで否定するつもりはないけれど、説教されるようなことを現代人がしているからそう感じてしまう、という部分もあるように思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ジャイアント白田[*] 緑雨[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。