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[コメント] ユナイテッド93(2006/仏=英=米)

何故泣いたのか? 100/100
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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9.11では3千人の死者が出たが、ユナイテッド93便での犠牲者は44名と小規模だ。私たち第三者は事件の規模を数字で見て把握するわけだけど、こうみると93便の死者は少なく感じる。しかしどうだ。本作は、そこには確実に44名の命があった事実をまじまじと伝える。恐怖と絶望のフライトを容赦なく突きつけてくる。

地上の混乱、情報の錯綜、空中の事件が目まぐるしく描かれて息つくヒマがない。この状況事態がとてつもない緊迫感をもたらしそこらのサスペンス映画よりよっぽど怖い。墜落前になると感情の揺さぶりが激しくなって泣いてしまったのだが、未だに何に泣いたのか分からない。死の恐怖か、辛さか、機首が上がってほしいという希望に対してか。しかしながら、これは泣く映画でもないと思うんだ。だって彼らは私たちを泣かせるために死んだのでないし、監督も泣かすつもりはないだろう。そう考えると泣くのは間違いな気がして複雑な気持ちだ。

最後の字幕で「9.11で亡くなった全ての方にこの作品を捧げる」とでる。犠牲者ではなく、亡くなった人(字幕ではlost their livesとなってる)と表現するのは、テロリストも含めているのだろう。彼らも被害者と言うつもりはないけど、監督のこのスタンスは支持したい。

(評価:★5)

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