PTAのファンで、なおかつデイルイスの引退作とならば…と、敬意を込めて劇場で鑑賞。

美しい映像と役者の熱演、音楽、カメラワーク、どれをとっても一級品。一般ウケしなさそうという以外は、欠点のない完成度の高い作品に仕上がっている。特に印象に残ったのはやはりラストだろうか。

少量摂取しただけであれほど苦しんだ毒キノコを、次はブツ切りで、しかもバターで炒めて卵で閉じる。男はそれを、女の前で一口一口、音を立てながら食べる。あのキスの後、男は「一応、医者呼んで？」と言うが、女は「大丈夫よ」と笑いながら拒否。（この際どいシーンに、乾いた笑いを提供してくれるPTA、スゴイ）。こうして、愛と憎しみを迷走した関係は、主人公の死によって清算される。（直接的な描写はないが、そう解釈している）本当にヒヤッとする映画だ。

これは一時的な恋愛感情によって没落していく男女を描いた映画ともとれる。それを恋愛映画と謳って大真面目にやってるとしたら、やはりいつものPTAのビックジョークだ。嫌いになれる訳がないのも納得。