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[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)

子どもの頃、今よりずっと「死」が近かったことを思い出す。
イライザー7

子どもの頃、今よりずっと夜がくらかったし、闇も深かった。ささやき声も今よりずっと大きな声に聞こえた。謎は、自分の存在を圧倒するほど大きかった。世界はときに目がくらむほどまぶしく、それなのにひどくうすぼんやりとも見えた。

ときどき、この世界にあるものに、ひどくびっくりさせられることがあった。周りの大人たちがそれに平然としていることが信じられないほどだった。

例えば「死」がそうだった。自分が死ぬこと、両親も死ぬこと、すべての人が死ぬこと・・に気づいたとき。ちょうどアナと同い年くらいだった。

でも、誰かにそれを訴えたり、聞いたりすることなど、思いも寄らなかった。世界は、それでなくとも、まるでわからないことだらけだったから。

アナの思っていることは、私たちに直接知れることはない。それはちょうど、私自身の思っていたことが、いま自分に知れることがないのと同じだ。

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このコメントを気に入った人達 (7 人)Madoka Santa Monica[*] 甘崎庵[*] uyo kazby[*] ジャイアント白田[*] tredair[*]

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