『悪魔のいけにえ』の存在はとりあえず無視してのコメントです。

出だしはホラーものの王道を行く展開でよかったのだが…。 バカな若者の乱痴気騒ぎ、何かに怯えまくる女性、貧相だが不気味なガキ（どこから探してきたのだろう）、いかにも訳ありの偏屈な老人、etc..

何の溜めもなく殺人鬼の姿があっさりと登場するのも拍子抜け。途中、ヒロインの恋人の顔をかぶっていた場面はドキっとした。このギミックは他にも使いようがあると思うのだが、なぜかそのシーンだけで終了（例えば物陰に隠れていた人物に近づいたらマスクをつけた殺人鬼だった、とか）。そもそも己の醜悪な顔にコンプレックスを持っているようだが、モンスターの上に更にモンスターのマスクをかぶせてどうする。

赤ん坊の存在もよくわからない。いなくてもストーリーは進行する。むしろ登場させたことにより、どこからどのように、そして何のためにさらってきたのか疑問が生じる。

ピストル自殺した少女があの一筋縄ではいかない連中からどのように逃げ出してきたのか、記録フィルムの警官隊のやりかたはあまりにも杜撰すぎやしないか、だから門外不出なのではないのか等々、他にも疑問は多い。中途半端に現実感を出そうとするからおかしくなる。

ラスト近くのシェリフ轢き殺しも中途半端。どうせならあそこにいた連中を全員惨殺し、殺人鬼から逃げる立場のはずがなぜか同類に陥ってしまうという狂気の世界を希望。