[コメント] こころの湯(1999/中国)
温かくユーモラスだが、どこか切なさが伝わってくる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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人情味あふれる地域社会が壊れていく惜別の念と、父子三人の姿が重なる。経済特区の深センで働く長男、長年暮らした銭湯にふかく根をおろしている父と障害をもった次男。その関係は、機能的だが無機質な現代の都市空間と、風情がのこる雨漏りだらけの古い街並みとの対比でもある。
帰郷した兄は銭湯で人の情にふれて何かが変わった。だから妻に弟のことを告げ、彼を引き取る決心をしたのだろう。しかし弟をそっと包み込んでくれる隙間が深センにあるのだろうか。行く末にはモヤがかかっているようにも思える。それは再開発で散り散りになった住民たちの今後をおもうときの寂寥感に似ていて、弟はそんな住民たちの切ない思いを一身に背負ったシンボリックな存在なのかもしれない。
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