コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 天気の子(2019/日)

見終えた後、 「こんなサイコパスな帆高という男に付きまとわれて陽菜ちゃん可哀そうすぎる。早々に理解ある大人と出会ってその人と幸せになってほしいな」 と思いました。本気で。そう感じさせた時点でこの映画はダメダメだと思う。
れーじ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







だって俺、二次元美少女大好きの二次元オタクですからね。二次元美少女の幸せは何よりも優先するのです。

で、はっきり言ってこの帆高って男に陽菜ちゃんは任せられないと思ったんですよ。

世界を代償に彼女を選んだとかこの際全然関係ないよ。

だって何の計画性もなく行動して、自分に不都合なことが起これば『逆シャア』のハサウェイみたいに身勝手な理屈を喚き散らすだけのガキンチョをどうやって応援しろと?

陽菜ちゃんいいの? こいつでホントにいいの?

命の恩人にすら衝動的に銃を向けるような奴なんてDV野郎になる確率大やんか。

あんな経験を共にした後の、あのラスト手前ですら、高校の後輩に呼び出されて 「まさか初コクられ?」 とかなんとかどぎまぎするような頭と股の緩い男だよこいつ?

こいつ、綺麗なおねーさんに言い寄られて股広げられたら簡単に浮気するよ?

何ならあの嘘くさいリーゼント頭の警察官と交際した方が陽菜ちゃん幸せになる未来が見えるわ。

********************

……という感情論はさておいて、少し冷静に考えてみる。

脚本家としての新海誠が抱えている大きな欠点は2つあると思っている。

〇1つ目。

キャラクターに感情移入させたり魅力的に感じさせる努力をしないこと。

たとえばワイルダー監督の『情婦』なんかは、リフトという小道具を使いつつ主人公ウィルフリッドの偏屈だけどどこか憎めないキャラを最序盤で固めてる。 個人的にこのあたりの演出、映画におけるキャラ立てとして文句なしに良く計算されたキャラへの導入だと思っている。

…なわけだけど、新海誠はこういった点で本当に趣向を凝らすことをしない。 今回なんかも、ヒロイン陽菜の序盤登場シーンってこんな感じじゃないですか↓

1.「ハンバーガーを恵んでもらうシーン」

2.「追われた後に天気女としての設定を開示するシーン」

どちらもアニメ美少女らしい振る舞いをして可愛く演じてはいるわけだけど、言ってしまえばそれだけだ。 要するに作劇上の段取りだけに終始していて、「陽菜というヒロインならでは」の性格・パーソナリティを印象付けるシーンがない。

そのあとの陽菜の家にお邪魔するシーンでも、帆高が泣き言を言ってそれを陽菜が受け止める描写があったりするけど (このシーン自体は、年下の二次元美少女にバブみを求める最高に最低で最狂にキモいセクハラシーンで、単体では実は嫌いではなかったりするんだけどそれはさておき)、 だからと言ってその包容力がキャラの魅力を支える柱になっているかと言えばそうでもない。

ていうか陽菜とのボーイミーツガールが話の骨子になってるはずなのに陽菜とのシーンがえらい少ない。

正直、新海誠は、キャラの魅力を提示するとか、そういうことをするアタマが全くないように感じられる。

多分新海誠の中ではヒロインや主人公の人物像があまりにも出来上がりすぎてて、キャラに感情移入しまくっちゃえてるんだろう。

それをそのまま、その前提でストーリーに落とし込んじゃってるから、そもそもの話として帆高や陽菜がどういうキャラ知らない観客には感情移入したりキャラを魅力的に感じるイベントが提示されないという結果になってしまう。

思えば「君の名は」とかでもこの傾向は共通していて 「明らかにこれエロゲの共通ルートだろ」 みたいなシークエンスでけたたましいBGM鳴らしながらctrlスキップ(エロゲにおいて未読シーンでもテキストを早送りできる機能)をしていた。 (具体的に言うと、入れ替わってるー?あたりからの瀧と三葉の日常ダイジェスト)

いやいやいやいや、共通ルートってアンタ、エロゲでヒロインに感情移入させるうえで一番重要なところだからな?  日ごとに起きる、起承転結でも三幕構成にもなっていないとりとめのないイベントを積み重ねて、プレイヤーはヒロインと日常を共有したという疑似体験をするんだよエロゲって。 そこでプレイヤーにとってヒロインは唯一無二のものとなって、感情移入して彼女たちが抱える問題に心を痛めるんだよ。

当然それは映画というメディアに合ったものではないから、何らかのアレンジなり別の手段を取らなきゃならんのだけど……そこを考えなしでCtrlスキップ早送りしてどうすんだ。

そこはプレゼンしろよ。 魅力的なエピソードをガツンと入れて主人公とヒロインの距離を近づけてくれよ。萌えさせてくれよ。 そのキャラがどんな風に魅力的で可愛いか、それを全力で訴えてくれよ。 エロゲの申し子が聞いてあきれるわ。 「あさ〜あさだよ〜ごはんたべてがっこういくよ〜」とか「カツサンドっ」からあんた何学んだんだよ。

そういや陽菜が帆高を意識してるシーンもすっごい少なかったね。 いつから意識し始めたのか、どういう風に意識してるかも全然だったね。 要するに新海先生にとって陽菜が帆高に惚れるのは当たり前のこと過ぎていちいち描くことでもないってことなんだろう。 ボーイミーツガールで一番燃えるシーンを何で抜かすかなぁ?

だから、自分にはどうしても帆高というキャラ、陽菜というキャラ、そしてその二人の関係が唯一無二のかけがえのないものにはどうしても感じられなかった。

記号的な、交換可能な、どこかで見たことがあるお約束的なアニメの主人公とヒロインにしか見えなかった。

〇2つめ。

キャラの行動の説得力不足。

自分が一番興ざめしたのは、クライマックス、消えた陽菜を追って東京の街を疾走するシーンだ。

どこに行って、どういうことをすれば陽菜に会えるかわかんないままそんなことされても。困る。

「こうすれば陽菜と会えるかもしれない」という予感すら提示されないまま、どう考えても真っ当な理屈で帆高を捕まえてる警察を振り切ってむやみに走られても「え……こいつ、なにやってんの?」としか思えない。

ていうかこれさあ「星を追う子ども」で一番駄目だったところじゃんか。 あの映画、全体的にまんべんなくダメダメだったけど、何が一番あかんって、キャラが何のためにどういう行動してるかが全然示されてなかったってとこでしょ。

何も成長してないじゃん。 あの悪評から何を反省したんだよ。 反省しないクリエイターに先はないよ。 しかもこんな致命的な弱点、放っておいていいはずないだろうに。

他にも、怪しげな占い師や神社の神主が語る話が世界設定そのものもという素人臭いやり口なんかも噴飯もの。

ていうかこの体たらくでラノベバカにすんな。 新人ラノベ作家でもこんな恥ずかしいマネせんわ。ていうか編集者に止められるわ。

何なら単巻もののラノベとか読んで設定の見せ方勉強した方がいいよアンタは。

総じて、自分が伝えたいことについて、「どういうことを」「どういう風に」「どういう順番で」描けば観客に伝わるか、理解してもらえるか、全く考えていない独りよがりな脚本としか思えない。

とまあ、そんな感じで、脚本に関しちゃ全然ダメ。

絵的には目を見張るシーンもあるにはあるけど、全体をまとめる脚本がこれじゃはっきり言ってお話にならない。

聞いた話では、新海せんせいは「映画は人から眉をひそめられてしまう密かな願いを書くもので、学校の教科書じゃない。僕は僕の生の実感を描くので、それで怒られるなら仕方ない」とか「批判した人をもっと怒らせたい」とかイキったこと言ったらしいけどさあ。

はっきり言って新海せんせい、あんたの脚本それ以前の問題だよ。

アンタが望んでた議論の俎上に載せられてないよ。

単に好意的に受け止めて、自主的に補助輪を付けてくれた人以外の観客を置いてけぼりにしただけだよ。

脚本の教科書とか読み直してちゃんとしたアニメスタジオとかでそういう教育受けた方がいいよ。

****************************** [以下、7月28日18:40追記]

上記のような感じで基本的に受け付けない所ばかりの『天気の子』だけれども、一か所だけ気に入ったシーンがある。というかそのシーンだけで自分は3点を付けている。

上でも少し書いたが、初めて陽菜の家にお邪魔して泣き言聞いてもらうシーンだ。

ここは良かった。心底気持ち悪いんだけど気持ちいい気持ちの悪さだった。

というのもね、分かったんですよ。同意できたんですよその願望に。

だってこれ、いわゆる年下の女の子にバブみを感じて甘えるシーンじゃん。

逆シャア』でシャアがナナイに甘えてオッパイに顔をうずめる本気で気持ち悪いシーンがあるけど、このシーンある意味で完全にそのシーンの上位互換、アップグレードバージョンでしょ。

年下の、出会って間もない、胸も大きくない(=二次性徴も済んでおらず、要するに子供を成す体の準備もできていない)、文句なしに未成年の女の子に母性を要求して甘えるシーンだよここ。おっそろしいよ。最悪のセクハラだよ。

新海監督が陽菜ちゃんのオッパイ吸いながらマスかいてるところまでもう完全に幻視出来てものすごい吐き気催したんだけど、ガチで劇場で小さく「うわ…えぐ…」ってドン引きの声が漏れちゃったんだけど、でも作中で描かれる願望でここだけは全面的に同意できた。

そうだよね―わかるよ。

現実の女子中学生にこんなことやったら一発で補導もんだけど、せめて二次元の中ではそういう年下のママに甘えたいよね―わかるわー。 (中学生というのがまたいい。高校生より中学生に甘えたい)

ここまで最低な二次オタ的願望を十全に表現して大スクリーンで放映するのはただ事じゃない。

他のシーンは脚本のアレさ加減で完全にから回ってるけど、ここのシーンだけは、やりたいことに対して十全に、文句なしに表現できてたと思う。

自分自身が二次元美少女大好きでエロゲーとかしまくってる人間だから、ここだけは本気で文句なしに美味しくいただけました。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)なつめ[*] ペンクロフ[*] がちお[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。