物語の前半部分が好きだ。エリーが強く地球外知的生命体探査にこだわる。こだわらなければならない理由が描かれている。ハム無線で父親を呼びかけるシーン、あれは「祈り」だ。

そして結論から書くと、物語全般に「神・宗教」が出てくる以上、題名の「コンタクト」とは、「地球外知的生命体」とのコンタクトではなく「神」とのコンタクトであることに気付く。

証拠は無いし接触もできないから神はいないと考えていたエリーは、何光年も離れ現実的に接触できない地球外知的生命体の探査に人生をかけ、自身が体験した事実に科学的証拠はないと否定される。だが彼女を助けるのは神を信じるパーマーの「科学も宗教も目的は同じ、真理の追求だ」という言葉だ。

エリーの言う地球外知的生命体を神、パーマーが言う神を地球外知的生命体として話を見れば、科学を信じる無神論者へのカールからのメッセージとなるのではないか。