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煽尼采さんのコメント: 更新順

★3アイガー・サンクション(1975/米)サスペンスはただのこじつけであって、まるで成立していない。殺しも登山も、「漢」のプライドの表現、自己証明としてある。「見る」男から「見られる」男へ。 [review][投票(3)]
★3トスカーナの贋作(2010/仏=伊=ベルギー)原題の、「認証謄本」を意味する言葉を「正しい紛い物」という矛盾した意味へと読み換えていくような形式が見事、なのだが、嗚呼、やはりジュリエット・ビノシュ苦手だわ、と、徐々にウザさを増していく彼女に耐える約二時間でもある。 [review][投票(1)]
★2女性の勝利(1946/日)三浦光子が告白シーンで見せる狂乱演技はパワーが有るが、それを受ける側の田中絹代が大人しいお芝居の枠内に留まるのが苛立たしい。徹頭徹尾、戦後民主主義教育の教科書的な台詞が空々しい。時代を越えて観るに値する映画ではない。 [review][投票]
★3モールス(2010/米=英)ぼくのエリ 200歳の少女』の乾いた青白い色彩とは対照的な橙色(と緑)。似たような映画を再生産しても詰まらないのだが、オリジナルの、無機質な冷たさの中に僅かな体温を感じさせる切ない世界観、それに拮抗する何物かを構築し得ていない。 [review][投票(2)]
★2劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ(2011/日)以前、NHKで「かまってちゃん」のドキュメンタリーを観て、リアルタイムのネット配信等、幾らかは面白いけど個人的には興味無い存在だったが、そういうこと抜きにしても、この映画の取って付けた感は萎える。終盤のCG演出は完全に映画を嘗めている。 [review][投票]
★2御用金(1969/日)冒頭の、無茶可愛い浅丘ルリ子、『』張りのショック演出に期待が高まるが、結局ここがMAX。心情を語るシーンは、台詞による語りにしても、地獄の鬼太鼓にしても、長々と引っ張りすぎ。これを冗長と感じさせない程度の演出力を備えてからやってよ。 [review][投票]
★2ジョルスン物語(1946/米)やっぱり、ほら、初トーキー『ジャズ・シンガー』の主役として興味を抱いて観るわけじゃないですか。そこが全然見せ場にも何にもなっていない(「映画撮ったよー」的な報告程度しか無い)のがね。 [review][投票]
★2ミッドナイト・ミート・トレイン(2008/米)「見ること」に伴う暴力性や権力を見せるシーンが幾つか現れることで、このテーマをどう料理するかと期待したが、結局は思わせぶりだけで終わる。賛否が分かれそうな終盤の展開も嫌いではないが、これもひとつの定型に思え、尻すぼみ感は否めない。 [review][投票]
★2日曜日が待ち遠しい!(1982/仏)ミステリーとしては、真相はまるで面白くなく、恋愛心理の絡ませ方も稚拙。このトリュフォーの緩さ、甘さは「味」なのかもしれないが、ナンパ・シーンにも一端が見える、トリュフォーの馴れ馴れしさと享楽性が、僕には無神経に感じられる。 [review][投票]
★3クィーン(2006/英=仏=伊)世の潮流に左右されない伝統の継承者としての威厳を保とうとする女王と、選挙によって首相となったブレアの、民意の動きに敏感な姿勢とのギャップと協同の妙。 [review][投票]
★3デイブレイカー(2009/豪=米)ヴァンパイアであることの退廃的な美と快楽は、彼らがマジョリティであるという設定によって、光を避けた闇の中でのみ活性化する都会の退廃美としての広がりを見せる。 [review][投票(2)]
★4お早よう(1959/日)「大人だって、余計なことを言ってるじゃないか」に続く台詞が殆ど小津映画への批判に聞こえて驚く(笑)。やんわりと自己弁護する場面も挿まれはするが、「テレビ」が象徴する新時代への推移を淡々と捉える脱構築的作品。おならの音にも諸行無常の響きあり。 [review][投票(1)]
★2バーバー吉野(2003/日)少年たちは皆、亀頭みたいな髪型をしている。もたいまさこが他者を、この不条理な世界に穏やかなファシズムで呑み込んでいく不気味さは後の『めがね』で一つの完成形を見るのだが、本作では徒に苛立たしさを煽るのみ。対抗する少年世界が人工的。 [review][投票(1)]
★2回路(2001/日)「黒」に対抗するものとしての「赤」がいまひとつ立ち上がってこないもどかしさ。生きながらにして既に亡霊化している人間達の描写は、作品の主題を貫いてはいるが、彼岸の暗黒との境界が曖昧すぎて、恐怖感を著しく殺ぐ。終盤(=終末)に向かうほどに退屈。 [review][投票(1)]
★2サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2001/日)鈴木京香演じる洋子の、プロ意識も冷静さも欠いた無計画で無神経な言動に苛々。本来、子供のように無邪気な健一(安藤政信)に対する冷めた観察者として最初は入ることでドラマを引き締められたはずの彼女の有り様は、映画自体の甘さと緩さの象徴。 [review][投票]
★3去年マリエンバートで(1961/仏=伊)言語的描写の対象としての平等性によって、絵画や写真や彫像や舞台や人物の情景が入れ子状かつ可換的なロブ=グリエの小説世界は実写化によって喪失。男女のお話としては実はシンプルであり、作品内の時間は凝結しているので、何だか眠たくなってくる。 [review][投票]
★3最後の忠臣蔵(2010/日)丁寧に撮られているということと、繊細さや緻密さとはまた別。忠臣蔵の物語を何の疑問もなく肯定する俗情と結託しているというか、この映画一本で全ての情に必然性をもたらすような自立性が欠けている。 [review][投票]
★3コレクター(1965/英=米)“respect”という針で刺す。 [review][投票(1)]
★3セラフィーヌの庭(2008/仏=ベルギー=独)画面が画布そのものを捉えるカットはほんの僅かで、むしろ、セラフィーヌが歌ったり緑を散策したり下働きをしたりする生活の中の一風景としての制作行為がある。美術愛好家的な視点で観ると物足りないが、これはこれで一つのアプローチとして正当ではある。 [review][投票(1)]
★1GAMER(2009/米)致命的なのは、「自らの身体を他者に操作される」という得意な設定が脚本に活かされていないこと。囚人とプレイヤーとの心理的な駆け引きも見られなければ、プレイヤーの優秀さというのが具体的にどのようなものか示されることもない。 [review][投票]