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煽尼采さんのコメント: 点数順

★4秋日和(1960/日)原節子は、『晩春』の娘役で見せた存在感を、今度は母親役としての威厳と包容力として見せている。本作の孕む幾つもの「反復」の中で、これこそ最も感動的なものかもしれない。 [review][投票(1)]
★4めがね(2007/日)柔らかな素振りで、さり気なく排除と囲い込みを行なう宿の雰囲気は確かに薄気味悪いが、「めがね」の機能性も含め、何重もの仕掛けでその「空気」に人を溶け込ませていく巧妙さには感心せざるを得ない。シンプルな画と長回しで、意識もいつしかチルアウト。 [review][投票(1)]
★4告発のとき(2007/米)眼前の光景に耐えかねたかのような、デジタル映像の、光景が砕かれて色の粒が散るノイズ。携帯動画中の兵士らの表情も含めて、役者の顔が語る映画。『クラッシュ』よりも抑制された演出が、却って心に沁みる。 [review][投票(1)]
★4ストリングス 愛と絆の旅路(2004/デンマーク=スウェーデン=ノルウェー=英)糸は、人形たちの運命、感情、意思、生命、といった、本来は目に見えないものを、剥き出しにされた神経のように可視化する。糸繰り人形である事を世界観そのものに組み入れる事で、却って生々しさや艶めかしさ、残酷さを際立たせる演出が見事。 [review][投票(1)]
★4青いパパイヤの香り(1993/仏=ベトナム)官能。大抵は空疎な常套句でしかない「五感に訴える」という表現がぴたりと当て嵌まる、希有な映画。 [review][投票(1)]
★4狂熱の季節(1960/日)これは巧い。乱暴にカメラを振り回しているように見えて、細部の音の演出まで的確。主人公の無軌道な行動には吐き気を覚える面もあるが、彼の無法な躍動性が映画的活気をもたらしているのもまた事実。連続噴射するエネルギー。 [review][投票(1)]
★4裏切り者(2000/米)電車の映画。どこか『ゴッドファーザー』part1・2を踏まえた様子も窺える。主人公の境遇の卑近さと裏社会の黒さや、人間関係における信頼と敵意。それらの緻密な描写から醸し出される雰囲気がいい。 [review][投票(1)]
★4ゾラの生涯(1937/米)ドレフュス事件に凝縮された、ゾラの生涯のエッセンス。正義一直線の人物として描かれたゾラ。僕は基本的に、そうした直球勝負の映画は余り好みではないが、直截な演出を一つ一つ重ねていく丁寧さや、端々に見える意外な繊細さに感心させられた。 [review][投票(1)]
★4許されざる者(1960/米)オードリー・ヘップバーンが可愛いらしく、妙にハイレベルなアイドル映画として観ても楽しい。だがアイドル映画と呼ぶにはどこか倒錯的で歪んだ面が覗けて見える点にも惹かれる。 [review][投票(1)]
★4バートン・フィンク(1991/米)感覚的で不条理、を理詰めでやってみせたような完成度の高さが、唯一の不満点。だが何か癖になる味わいがある。 [review][投票(1)]
★4ラスト、コーション(2007/米=中国=台湾=香港)冒頭から始まる、緊張感に充ちた視線、視線、視線の交錯。登場人物たちの視線のぶつかり合いのみならず、観客の視線の誘導の仕方までもがストレート。この徹底した視線の集束による、ショットの密度、強度。 [review][投票(1)]
★4リボルバー(2005/英=仏)revolve=「あれこれ熟考する/何かを軸に事が展開する」。「騙し」という名の回転式拳銃によるロシアン・ルーレット。攻守どころか主客も転倒する思考迷路。フラッシュ・バック/フォワードの多用、観客に「熟考」の暇を与えぬ編集による、イメージの撹乱。 [review][投票(1)]
★4あにいもうと(1953/日)逃げ場の無さと、軽やかな逃走との両義性としての川の存在は、この映画の通奏低音。一瞬、繋ぎ間違いかと思えるような時間の撹乱も、この濃密な愛憎劇をどこか超越的な視点から見下ろす成瀬の眼差しの表れだ。 [review][投票(1)]
★4黒い家(1999/日)画と音の不気味さ・違和感・悪寒を極めようという偏執的な拘りだけの映画であり、この拘りの細かさ、その映画小僧っぷりには、お話のいい加減さなどどうでもいいと思わせる力がある。可笑しさと気色悪さも未分化な原初的な異物感が全篇を塗り固める。 [review][投票(1)]
★4静かなる決闘(1949/日)柵、雨、光。 [review][投票(1)]
★4包帯クラブ(2007/日)革命!包帯とは連帯である! [review][投票(1)]
★4潜水服は蝶の夢を見る(2007/仏=米)眼前の対象に働きかける事が出来ず、視覚と聴覚、記憶と想像力を頼りに紡ぐ経験。この主人公の境遇は、映画の観客が置かれる状況にも少し似ている。言葉の価値を「目に見える」形で表現し得た映画としては、『華氏451』の十倍以上素晴らしい。 [review][投票(1)]
★4まあだだよ(1993/日)ひたすらに優しい映画であり、それが、老いた自分自身への優しさのように見える所もあるのは否定しないが、それは自己愛というより、黒澤が最後に辿り着いた「くつろぎ」のように感じられる。 [review][投票(1)]
★4トレーニング・デイ(2001/米)ホイト(イーサン・ホーク)がこの一日でTrainingさせられた事とは何か。 [review][投票(1)]
★4パリところどころ(1965/仏)個々の短篇に於ける<室内/街中>の切り替えによるドラマの転換の仕方が面白い。街を歩く場面は、時にシークェンス間を繋ぐ転換点、また或る時はそれ自体がシークェンス、等々。 [review][投票(1)]