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煽尼采さんのコメント: 投票数順

★3ブロンコ・ビリー(1980/米)幻想のアメリカの、無残さと滑稽さと、その苦味から滲み出るような、優しい甘さ。 [review][投票(4)]
★3風と共に去りぬ(1939/米)フランソワ・オゾンが『エンジェル』で戯画的に描いたような勘違い女が、ラース・フォン・トリアーが『マンダレイ』で諷刺したような社会で右往左往する酷い話。だが、赤を基調とした陰影ある画面、ヒロインを愛しつつ冷めた目で見るレットが魅力的。 [review][投票(4)]
★3大いなる陰謀(2007/米)この邦題で公開した配給会社はレッドフォードに殴られていい。「陰謀」がどうこうという内容ではなく、テロとの戦争に関する議論と、その議論の空しさを三つの状況の同時進行で描いた映画。 [review][投票(4)]
★4ジェシー・ジェームズの暗殺(2007/米)南北戦争の敗者である南軍、その生き残りとしてのジェシー・ジェームズ。アメリカの正史から取り残された者への郷愁。疑念と友情の間で揺れ動き張り詰める、緊張感に充ちた場の空気を捉えた、持続性のある場面作り。音楽の素晴らしさ。 [review][投票(4)]
★428週後...(2007/英=スペイン)揺れ動き、疾走し、闇に脅える主観ショット。広大な空間の上を滑走する俯瞰ショット。素早いカット割り。この動的でリズミカルな空間演出と、思い切りのいい暴力描写。感染という要素によって、死にゆく感染者から飛び散る血飛沫もそれ自体が暴力となる。 [review][投票(4)]
★3ナバロンの要塞(1961/米)少数精鋭による、難攻不落の要塞の攻略、という男児的浪漫全開の物語ではあるけれど、その実、戦争というものへのシニシズムに充ちたドラマ。次々と危機が襲い来る展開は飽きさせないが、それらを乗り越える過程にもどこか苦味が漂うのだ。 [review][投票(4)]
★3旅情(1955/米=英)繊細かつ的確な演出で描かれる、‘オールドミス’への慈愛に満ちた、だが現在の視点から見ればやや偏見に満ちてもいる、一夏の恋。その違和感への我慢が報われるような、ラスト・シーンの美しさ。でもやはり何か釈然としない。 [review][投票(4)]
★2八月の狂詩曲(1991/日)道場六三郎が作ったボンカレーみたい。何となく有難い気がする半面、彼にそんなものを作らせてどうするんだという虚しさ。子供たちの、道徳の教科書に出てきそうなお利口さん振りや、人物の類型性が、下手という以上に不気味にさえ感じられる。 [review][投票(4)]
★2デスペラード(1995/コロンビア)確かに『エル・マリアッチ』では予算の都合で我慢していた諸々を一気に炸裂させた解放感はあるが、ハングリーさ、哀愁、ユーモア、埃っぽく乾いた空気感、これらは多分に損なわれている。痩せた狼が、良い餌を食ったシェパードになった観。 [review][投票(4)]
★3浪華悲歌(1936/日)人物が、極端な遠景や、襖越し、或いは薄いカーテン越しに撮られた、距離感のあるショットが多い。この、被写体を突き放したような距離感は、人物の感情に寄っていかない、素早いカット割りにも表れている。 [review][投票(4)]
★3太平洋ひとりぼっち(1963/日)主人公のナレーションや、頻繁に挿入される回想シーンは、観客を退屈させはしないが、孤立感を殺ぐこと甚だしい。堀江青年に寄り添うような撮影が、彼を捉えるカメラ、観客という三者の共犯関係を成立させるが、「ひとりぼっち」感にとっては致命的。 [review][投票(4)]
★4ダンボ(1941/米)生まれながらの特異な個性、周囲からの孤立を強いるものが、何かのきっかけで、誰も為し得ず、誰もが瞠目する何事かを実現させるということ。才能とは、ダンボの耳のようなもの。愛らしいメルヘンなのに、ガチで狂気をぶつけてくる幻覚シーンにも感心。 [review][投票(4)]
★2嫌われ松子の一生(2006/日)ゴミおばさん松子の穢れた一生が、或る視点から見つめ直すことで、女神のように燦然と輝きだす瞬間は素晴らしい。顔が出てきただけで瞬間的にキャラが理解できるキャスティングも見事。だが、中谷と中島の組み合わせは不幸だった。 [review][投票(4)]
★3悪い奴ほどよく眠る(1960/日)悪い奴らの安眠の夜を照らす復讐者。夜=暗闇に他人を隠滅する者の安眠術。 [review][投票(4)]
★3隠し砦の三悪人(1958/日)黒澤自身、理屈抜きの徹底した娯楽作品として制作したというが、僕からすれば、こちらの理屈が入る余地の無い娯楽作とは、むしろ剥き出しの理屈、セオリーだけで作られるべきもの。百姓の強欲さや不潔感の、観客の不快を誘う写実主義的な作家性は贅肉だ。 [review][投票(4)]
★312人の優しい日本人(1991/日)日本的情緒ベッタリな、議論の出来ない人々への「明確な殺意」を覚えた僕は、半ば本気で米国に亡命したくなった。裁判員制度が現実化した今、これはコメディではなくホラー。元ネタ作品及び日本人に向けた批評的改作。(『十二人の怒れる男』のネタバレも→) [review][投票(4)]
★5十二人の怒れる男(1957/米)男たちは、自分の存在をぶつけ合って議論する。これは格闘技だ。闘い合う事で理解し合う、まさに‘漢(おとこ)’の世界。作品自体も、一室に役者を集めただけの、素の人間力で創られた映画。全篇で展開する激論が、最初はやや弱腰に始まるのが、重要な所。 [review][投票(4)]
★4スカイ・クロラ(2008/日)押井守のミシマ化(?)。イカロスにして、シーシュポス、更にはオイディプス。父への反逆を、父として描く。 [review][投票(4)]
★3イグジステンズ(1999/英=カナダ)銃やゲームポッドのデザインは、この監督しか考えつかないような奇抜さ&気色悪さ(&可笑しさ)。だが、そこに込められた暗喩を見れば、同年作の『マトリックス』より哲学的だ。 [review][投票(4)]
★3サッド ヴァケイション(2007/日)だが、この爽やかさ、明朗さが、嫌だ。この嫌さは、<母>の冷酷な包容力ではなく、映画のミニチュア的な作り物感に由来する。肝心な所を伝えきってサーガを閉じたかったのか、終盤、台詞が妙に説明的。 [review][投票(4)]