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[コメント] 幸せのちから(2006/米)

時間と貯金、この二つの、日常的かつ脅迫的な数字に常に追われながら走りまくる主人公クリスの奮闘はもう、僕らの「今そこにある危機」の上に展開されるサスペンスでありアクション。自分への投資という賭けのスリル。小銭の存在感。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







クリスが抱える二つの存在、息子と医療機器。前者は彼の大きな責任であるのと同時に、心の支えであり、後者は、自らの失敗という重圧。この二つと共に必死で走るクリス。故障していた機械が治り、その光が息子の寝顔を照らす場面は何とも感動的。

お荷物の機械をタイムマシンだと言い張って、息子と一緒に恐竜の時代にタイムスリップした(つもりの)クリスが、「洞窟だ」と言って駅のトイレに息子と逃げ込む場面も好きだ。ここなら安全、と息子を寝かしつけたのはいいが、誰かがドアを叩く。そう、彼は冗談抜きに、実際、恐竜のような巨大な脅威に晒されている身なのだ。息子を喜ばせる為に言った「恐竜」が、クリスにとっても、喜ばしくない形で真に迫ってきてしまう。ここでノックの主に台詞を言わせていない事からも、その演出意図(誰か、ではなく、不安がノックする)が推測できると思う。

(評価:★3)

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