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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4ミッドナイトスワン(2020/日)献身されると自由を奪われる。堅気になった草なぎを拒絶してしまうのは、これを知るからである。ダンディズムが自由と独立を希求している。しかし自由の性質を知るからこそ泣訴を活用して人の自由を奪いにかかる。 [review][投票]
★3狂熱の季節(1960/日)ドライバーが車を経て5万円に化けるような計数感覚が日常の秩序に埋没する即自的性格を扱うと、川地民夫は牛乳、新聞、玉子の生活感の体系に現象する。 [review][投票]
★4ただ悪より救いたまえ(2020/韓国)ジョンミンがジョンジェを発動させたのは本来の仕事の外部効果にすぎない。しかも本筋たる誘拐パートと冒頭も関連がない。怪獣映画の劇伴をバックに襲来するジョンジェを乗せた匿名のトゥクトゥク運転手の度胸たるや、あれは何事か。 [review][投票]
★4ある脅迫(1960/日)金子が長考する不思議な間が受け手を彼の内面から引き剝がしてしまう。後世の類型からずれる、苦悩する金子の造形は把握しがたい。曖昧な人間像はだからこそ西村と飲んで白木マリと寝て浜村純を襲う夜の工程をこなし、精力が狭い直江津の地誌と化す。 [review][投票(1)]
★4佐々木、イン、マイマイン(2020/日)佐々木が芸の肥やしにされた。この印象は視点整理の失敗に起因すると思う。佐々木が独りだけの場面が方々にあり、彼の内面が暴露している。これは話の趣意からすれば叙述エラーだろう。被害者面の競い合いになりかねないからだ。 [review][投票(3)]
★4ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(2019/米)現代劇にベタな探偵を導入し、よりによってダニエル・グレイグをそれに配役する現実準拠の薄さに謂れがないわけではない。アナ・デ・アルマスの無意識によって仮構化された事件は、内容のない罪に苛まれる気持ちの悪さで彼女を圧するのだ。 [review][投票]
★4ギャングース(2018/日)話がでかくなると序盤のタタキの精度を維持できなくなり、半グレの三下の情態を細密に叙述する演出家の資質は、階層を上るにつれて人物の細部を取りこぼし、マクロスケールの敵を見失う。が... [review][投票(3)]
★4家族の肖像(1974/仏=伊)叙法に違和感はある。同居人だけの会話場面が少なからず挿入される。彼らは下世話な佇まいの割に金に綺麗なため、全てのキャラの感情が宙に浮く。金の絡みが感情に信憑性を与えるからだ。 [review][投票]
★4ハウス・オブ・グッチ(2021/米)遠近感を狂わせるアダム・ドライバーの怪相はたちどころに時代感を克服し、80年代を知覚させない。ツーブリッジの広漠なフレームがかろうじてアダムの顔面をまとめ上げるが、 [review][投票(1)]
★4かもめ食堂(2005/日)まともな映画の質感がこの時期の邦画としては珍しく、むしろその質感で小林聡美が延々と調理している様を活写するだけでいいと、貧乏性を煽られた途端、シナモンロールに客が引っかかる。こういうメタな応答性の良さがある。 [review][投票(1)]
★4ヤクザと家族 The Family(2021/日)ナルシストというヤクザの一類型を形態模写する舘ひろしの声から気品が抜けず、挙措がヤクザというよりホストに準じるために、平成編の彼は、オリヴェイラ映画のマルコヴィッチのように画面に佇むだけで爆笑を誘う稀有な事態をもたらす。  [review][投票(1)]
★4透明人間(2020/米=豪)キャスティングがよくわからない。なぜエリザベス・モスなのか。そこまで彼女に執着するこの男の趣味は何なのか。中盤の手前でモス自身「なぜわたしなの?」とメタ発言をやってしまうほどである。 [review][投票(1)]
★4さんかく(2010/日)自由と独立を奪われた男は他人のそれを奪うことで喪失を補おうとするが、自由は流通するだけで滞留しない。滞留したら自由ではなくなるからだ。片道通行の自由というこの小さな世界の原罪を引き受けるのは田畑智子。 [review][投票]
★4告白小説、その結末(2017/仏=ベルギー=ポーランド)異なる演技の文法が同一画面で展開されている。セニエは生活感を丸出しにしてエヴァ・グリーンはマンガである。この怪しさに頓着しないセニエの人の好さには作者の徳がもろ出しになっている。 [review][投票]
★4クライ・マッチョ(2021/米)他人どころか当人すら所作の統制はもはや野放しである。にもかかわらず、メキシコの女性連だけは統制される終わらない性欲。筋は向こうから勝手に飛んできて、老人に実体を詰め込む。 [review][投票(2)]
★4スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(2021/米)事態を持て余すコメディ調の通底が時空に裂け目を作り、その狼狽を具体化している。並行宇宙に由来する感傷がこれに対応する。 [review][投票]
★4おとなのけんか(2011/仏=独=ポーランド)たとえばハムスターに反応するケイト・ウィンスレットである。最初は行為が理念的だった。酒が入ると性格が理念に近づいてくる。 [review][投票(2)]
★4恋人たち(2015/日)不条理をどう受け入れるのか。言い換えれば、事を人災ではなく災害として認知する方法とは何か。社会の広がりに組み込まれろと作者は推奨する。人災は点だが災害は広がりである。巨視的な何かで包摂せねば認知できないからだ。 [review][投票(2)]
★4ハッシュ!(2001/日)配慮と相対化の工学が、異性愛の成立しえない構造に、不憫さを恋と混線させることで、疑似的に愛の切迫をもたらす。良識をめぐる人の相対性が筋として外化すると、半ば犯罪映画のストレスが民俗学的な誤爆として結実するような比喩の戯れとなる。[投票]
★4はちどり(2018/韓国=米)文明の崩落を叙述する前提として、まず文明自体を物象化する作業がある。それは診断書や漢文塾、究極にはソウル大になるのだが、かかる文明物を文字通り破壊する物証の迫力は通俗と互換して、 [review][投票]