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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4レイジング・ブル(1980/米)キャシー・モリアーティへの猜疑はヤクザ絡みで発動するように見えるが、ペシが猜疑心に呆れるように、ヤクザによる社会化の圧を逸らす処方になっている。 [review][投票(1)]
★3コーダ あいのうた(2021/米=仏=カナダ)災厄に応じてコロコロと怒り泣き歪むお顔が、エミリア・ジョーンズのアイドル化をいよいよ甚だしくし、階級脱出劇はますます嘘くさくなる。代わりに課題として浮上するのは笑顔で人の足を引っ張る恐るべき母の自立だが、 [review][投票(1)]
★4青い山脈(1963/日)芦川いづみの不感症を前にした二谷英明は顔を張られたという曖昧な物証に頼るしかない。感情は自らの外化のためにラヴコメ的スキンシップに邁進し、藤村有弘のプライヴァシーを侵害する。 [review][投票(1)]
★3RRR(2022/インド)最初から共通している利害が人を追い込む義理の仕込みを無効にしている。感情の裏打ちを失っている武力は、英国文官陣のサイズの合わない衣装のようにフワフワと滞空し、路上に撒かれる釘から始まって棘の鞭にエスカレートする無感情の暴力を滴らせる。 [review][投票]
★4アメリカン・ギャングスター(2007/米)各々のくやしさに思想の裏付けがあり、彼らの啓蒙思想は道具や振舞によって可視化されている。デンゼルとラッセルは思想的に互換するから、序盤でデンゼルの課題が解決しても啓蒙が侵されたくやしさはラッセル組に継承される。 [review][投票(1)]
★4一条さゆり 濡れた欲情(1972/日)感化を拒むのであれば批評は禁じられる。無意図を意図する他人事の仕草は間の悪さを構造化する。トランクケースの中で歌い出す批評精神は尿意の攻撃を受ける。その体液はトランクを自走させる揮発油となり、裸芸はステージではなく雑踏で本番を迎える。 [review][投票]
★4ヨーロッパ横断特急(1966/仏=ベルギー)固有の欲情がスクリプターの非情なダメ出しから逃れ続け、むしろダメ出しが性欲をフィルタリングして、素性を失ったトランティニャンの辛み顔がスケベの焦燥に読み解かれていく。天然の入った記録係に事態に気づく素振りはないが、 [review][投票]
★3ブラックハット(2015/米)性欲の霧に翻弄され恋の間合いを捕捉できないマイケル・マン節の好戦的な分解能は、オッサン大戦になれば一転して躍動する。性欲と刑務所ボケの不明瞭な境界に苛立ったのではなかった。性欲=ボケなのだ。 [review][投票]
★4マイアミ・バイス(2006/独=米)私情が仕事を侵犯する背徳感にコン・リーの視線は泳ぎ、ファレルの困り顔は超級公務員の皮に納まりきれなくなる。和歌山県警24時からカーセックスへ。安値を更新していく旅路は、しかし、寝取られた男たちの暗い情熱によって堂々たる昼メロに仕上がるのだ[投票]
★4ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー(1981/米)男の手際は仕事にとどまらず、人生をも設計せずにはいられない。しかし夜な夜な交わされる人生談義は家族の予後を暗くするばかりだ。 [review][投票]
★4ダブルボーダー(1987/米)管理職の大人たちは孤立に耐えかね既に廃人に達している。意外な戦場で同族を見出した獣たちには一時の交歓が訪れた。居場所を抹消した彼らの集団的な顛末はペキンパーというよりは戦国自衛隊である。 [review][投票(1)]
★3ロング・ライダーズ(1980/米)ローカリズムを義賊行為の根拠にした強盗団を退治するのはブルーステートのそれである。この無思想はスロー濫用のヒロイズムを動物ドキュメンタリーの無感動で眺めながら、強盗の傍らで幾度も繰り返される男たちの求愛アピールに気まずさを効かせる。 [review][投票(2)]
★4こわれゆく女(1975/米)筋の成立は症状の亢進を前提とするが、最初から振り切れているジーナにはもはや演技の引き出しが枯渇している。活を入れるべく共同体体質のピーター・フォークがやたらと人を連れ込んでくる。 [review][投票(1)]
★4オフィサー・アンド・スパイ(2019/仏=伊)静物的なショットである限りベルエポック作家の室内画を引き写して構築された絵面は破綻しないが、筋が人のアクションを要求すれば時代感はたちまち崩れ、風俗の再現と事件の展開が背反する。 [review][投票]
★4ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023/米)公共に目覚めたといえば警戒を呼ぶ。選択肢の仕込みがどんなに巧妙であっても市民化を強いられた体裁には変わりない。正義の物証は酷使される肉体の悲愴にこそある。イーサンという極めて属人的な媒体によって何か確実なものがあると女は知った。 [review][投票]
★4アステロイド・シティ(2023/米)テネンバウムズ家を踏襲する際にトム・ハンクスを義理の父にしたために、死別した妻が人間関係を凝集させる。人々のかみ合わせが要求するこの精度を達成するために、50年代の時代設定と科学賞が民度を蒸留する。 [review][投票(2)]
★4ここは退屈迎えに来て(2018/日)成田凌が淡い失恋の重心となって構築される青春の仮構じみた追憶は、ロードサイドの閉塞と関連を持たないように見える。失意の体系に組み込むには嘘臭い橋本愛のかわゆさはロードサイドから浮いている。 [review][投票]
★4ヘルドッグス(2022/日)デザイナーズマンションで地上を覆い尽くしたい審美感には含羞があり、その笑いの紛らわしは非ゲイアピールをゆるふわにしつつ、坂口健太郎の善性を誤用してしまう。 [review][投票(2)]
★4Revolver リボルバー(1988/日)サイコを退治する自警行為の俯瞰図は、自警が違法だからこそ無意識の営みに落とし込まれる。沢田から少年へ銃をリレーするのは徳のタイプキャストである小林克也である。 [review][投票(1)]
★4縞模様のパジャマの少年(2008/英=米)早熟を強いられた少年との苛烈な対比によって、未成熟を糾弾する父権の神話へと社会小説が変貌する。それはインテリの暗い嗜虐と共謀して、成熟を逸した人間たちを始末する悪趣味な手際へと飛躍するが、同じ心性は元医師の囚人には同情的な造形を実装する。[投票(1)]