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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★3レッド・ドラゴン(2002/米)エミリーの少し淫乱な造形が禍根を残したのではないか。それが容易に手に入ってしまうものだから、本作のエンタメの肝のひとつたる、せっかく手に入れたものが失われる悲壮が薄められ、奇人たちが離散してただ騒いでいるような統合を欠いた印象を受ける。 [review][投票]
★3メカニック(2011/米)距離を置くと、絶妙な髭面があの顔をまるで陥没しているかのように見せてしまう。顔と肉体のアンバランスは目前で展開される仕事の実践を信じられなくする。画面はヤケクソとしか思えない気合で顔に近接して髭を解像する。然るべきものが然るべく見えると今度は美が欠如する。 [review][投票]
★3クリード チャンプを継ぐ男(2015/米)才能も金も女もある門閥貴族の二代目襲名披露そのものを、興行に耐えうる物語に仕立てるのはむつかしいだろう。その才能も金もアドニスの責任の範疇にはないからだ。責任がなければ共感を誘うような課題が生じがたい。 [review][投票(2)]
★3岸辺の旅(2015/日=仏)画面が暗闇に溶け始めると「今回の清はノリノリだ」と微笑が浮かんでくる。不穏と緊張を煽る幽霊譚に力を得た恐怖映画の画面構成が躍動し、場面はさながら技のデパートと化す。 [review][投票]
★3アビエイター(2004/米=日=独)男の人生において病歴をどう位置づけるか、確定できないのは現実的だとしても、実際に話として提示されるのは、いかに症状が進んでも仕事には支障がないという不条理である。 [review][投票(1)]
★3カムイ外伝(2009/日)技術によって表現の制約からの解放されたのならば、静物であれ動物であれ、ほんらい省略すべき運動の過程をすべて押さえたいとする貪欲さが、話の生真面目な調子から浮いているように見える。 [review][投票(2)]
★3少年H(2013/日)風俗に対する博物や図解の精神や音響だけで初空襲を描画するようなリアリズムの対象が静物にとどまらず人間についても発揮されてしまい、水谷豊の出来過ぎた造形として帰結すると、社会科番組の再現ドラマのようなテイストにどうしても近くなってしまう。[投票(1)]
★3軽蔑(1963/仏)英語コンプレックスが無能や醜形といった軽蔑の具体的要因を集約していてわかりやすく、また劣等感に対する語り手の自覚も看取できて、そこに好感を覚える。どんなに格好をつけてもキモさが増幅されるばかりだから苛立ちが少ないのである。 [review][投票]
★4忍者狩り(1964/日)事をある種の治安戦として解釈していて、その一方的な虐殺を好ましく見せるべく、天津敏の忍者軍団へわれわれの憎悪を仕向ける工夫に実効性がある。 [review][投票(2)]
★3007 スペクター(2015/米=英)ボンドとボンドガールへの共感がなければアクションが緊張を醸しえない。ではかかる共感はいかにして獲得されるか。課題を抱えたボンドガールに対する人生相談という奉仕がそれにほかならない。 [review][投票(3)]
★4首(1968/日)職業人の映画になっていて、特に法医学人の冷然としたたたずまいに惹かれるのだが、彼らは狂気と笑いの源泉たる死体のオカルト性を俗化してしまうため、終わってみると、俺たちの桂樹のオーバーアクトは何だったのか、腑に落ちなくなってしまった。[投票]
★4妻への家路(2014/中国)自意識を失い動物と化したものを虐待するイーモウのフェチが、忠犬ハチ公に近似する形で露見している。政治的正しさからの解放が事を異星人との疎通を試みるような技術論に還元するのだが、この面白さはコン・リーの症状に対する語り手の恣意性と紙一重である。[投票]
★4ドン・ジョン(2013/米)どんな言動ならば嫌悪感を引き出せるのか。どんな振る舞いならば知性を表現できるか。人物造形の具体的な裏付けを執拗なほど気にしていて、しかもそれに成功している。『(500)日のサマー』の弱さが気になったのではないか。 [review][投票(1)]
★4ウォルト・ディズニーの約束(2013/米)現代パートの脈絡が弱いのではないか。ジェイソン・シュワルツマンの濃厚な眉目にエマが蕩かされるかのように、老女のツンデレがなし崩しに曖昧になってしまう。彼女はその形を喪失せねばならないのだろう。時空を超えるために。 [review][投票]
★3ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013/英)メタボがサモハンになるのに理屈などいらない。 [review][投票]
★4ブルージャスミン(2013/米)階級間移動のための脱出速度を確保できるのか。その可否の焦点化で緊張を醸成する類の正統派な話である。 [review][投票(2)]
★4ドライヴ(2011/米)越して来たら隣人がキャリー・マリガンでおまけに好意を醸成するイベントが満載とは、邪念にもほどがある。ところが話はもっと自虐的というか、よりアクティブで病的な童貞浪漫紀行なのだ。 [review][投票(2)]
★4コンテイジョン(2011/米)人が沈着であり続けることと、事態の展開に関連がないのである。非日常に順応してしまった、幾分の諦念を含んだ静寂な空気感は暴動ですら粛々と進行させてしまう。 [review][投票(3)]
★4監督失格(2011/日)関係が終わったことについて責任の所在がない。憎悪は未練を断つための手段だが、彼我ともに関係の途絶に責任がないため、恨みの持って行き場がない。語り手がようやく発見するのは、その憎悪の生まれる場所である。 [review][投票]
★4危険なメソッド(2011/英=独=カナダ=スイス)フロイトとのファーストコンタクトを描く1日が好きだ。狭いフロイト家の食堂で料理を貪欲に取り分ける様がよい。モーニングのオッサンらで埋め尽くされたカフェの喧騒もよい。 [review][投票(2)]