コメンテータ
ランキング
HELP

disjunctiveさんのコメント: 更新順

★3彼らは生きていた(2018/英=ニュージーランド)長いプロローグが終わり、音色を伴いながら画がブローアップしても、声質が変わらないボイスオーバーがプロローグと本編の質感の差を埋めてしまう。甘い解像が兵士たちの顔の輪郭を蜃気楼のように揺らめかせ、情報量の付与がかえって現実感を奪う。 [review][投票]
★3ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2017/米)ブルーカラーを無意識に嫌悪し図書館よりも各種口述に気をやってしまうのだが、ロジスティクスへの軽蔑が無意識だからこそ、聴衆には動物学的に接近できてしまい、人体の情報量が画面を制圧する。 [review][投票]
★3天国から来た男たち(2001/日)大塚寧々の芝居を手に余らせるVシネ的感性のくやしさが、遠藤憲一らを操状態に陥れながら、各種の失恋に肉薄してしまう。 [review][投票(1)]
★4ハード・トゥ・ダイ(2000/米)事件を配列する技巧が、習慣や境遇の共有を通して情交を根拠づける。プロポーズ大作戦はその成否を問うスリラーの中でキャラクターの好感度を上げ、その顛末が男を事件の従属から解放する。 [review][投票]
★4マックQ(1973/米)抜銃すればベルトの上からこぼれてくる腹回りが男性性を否定にかかるのである。チェイスをやればポンティアック・トランザムのパワーに主体性を奪われ顔は常に窮乏する。追及を受けると子犬のようにウルウルしてかわすのはDV男の手管である。 [review][投票]
★4嵐の勇者たち(1969/日)裕次郎が小百合を盾にして渡一家と合流するところ。小百合の小顔とあの顔厚が対比され遠近感が狂うあまり、「デケエ面してんな」とメタ突っ込みが入る。 [review][投票(1)]
★4ビトレイヤー(2013/英=米)現場の体感に飲み込まれ統計の抽象に耐えられなくなったアマチュアリズムにハゲとヒゲのオッサンたちが滅私奉公というタームで目を潤ませながら気合を入れる。きっかけは個人の印象にすぎないから全貌には特筆すべき内容を見出せないが、 [review][投票]
★4あるいは裏切りという名の犬(2004/仏)叙述的な警察映画だと誤解させてくるから、公務員のラテン的遵法感覚についていけなくなる。ヒゲ面のオッサンたちは眉間を起伏させながら、ひたすら飲酒・喫煙・脱衣・銃撃に勤しみ、肉体主義で質感と劇伴の安さを圧しようと忙殺される。 [review][投票(1)]
★4サザン・コンフォート(1981/米)精薄の人々に気をやる博愛が被マンハントのつらみを自然による優生学の中に霧散してしまう。音響意匠は優生学に呼応して自然の喧騒を抽出せずにはおかないが、人の選別が終わるとこの意匠はケイジャン村の祝祭にのめり込んでしまう。 [review][投票]
★3マトリックス レザレクションズ(2021/米)人妻の不倫願望ともいうべきうっすらとした性欲が、脈略のない各種欲望の陳列をリキ・タケウチ的に消化し、五里霧中の筋のフォグライトとなる。武断ギークという撞着語法がレディコミ的感性によって労われている。[投票]
★3ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米)文明の受容にせよセクシャリティにせよ政治性の薄い去勢が虚無を持て余し、失われた肉片の追憶に思想の在処を探索する。倒錯した因果関係の外観は内臓が裏返ったような色彩感覚である。 [review][投票]
★4ジェロニモ(1993/米)昼間の追跡で人の性能を展示し、夕べになれば焚火の前でオッサンが新人に演説を振るう。ジミー大西は素直だからオッサンの雄弁は留まるところを知らない。山場はいずれもオッサンの内紛である。 [review][投票(2)]
★4そして僕は途方に暮れる(2022/日)寄生術が野村周平の天然に報復されるようなフラストレーションの仕込みと解消のサイクルがどこかで乱調している。リウマチの圧は戯画的な顛末で中和される。しかしそれを中和しては話が終わるから、 原田美枝子の性格は軌道修正してしまう。 [review][投票(1)]
★3紀子の食卓(2005/日)人を動かすのは観念にすぎないから延々と説明が尽くされるだけだが、人の能力は目に見えるために事態を転がしていく。瑕疵がなくとも家庭そのものを許容できない女権称揚が空論を押し通してしまう。 [review][投票]
★4マスカレード・ホテル(2018/日)事実上のオムニバスに脈略を与えようとして劇伴が出来事を盛る。ロビーに入った客にオーバーアクトさせ、ホテルの格の指標とする。美術と演出がホテルの質感を保証できないのであり、バックオフィスに戻らないと画面が落ち着かない。 [review][投票(1)]
★3毎日が夏休み(1994/日)自閉スペクトラムを根性で矯正できるわけがないから因果がおかしくなる。火事場に義父を向かわせたのは拘りなのだが、その現場で矯正が勃発する。しかし向かえた時点で矯正の必要がない。主軸は矯正ではなく意図せざる善にあり、 [review][投票(1)]
★4西鶴一代女(1952/日)冒頭から三船の野趣に腰を砕くように、男運の圧によって自在に変形する絹代の粘体感は順応力であり、薄幸の幾何学の型である。不幸の多面体に対応するうちに美術は意匠を失い、ネオレアリズモのような無国籍の郊外となる。 [review][投票(1)]
★4幕末太陽傳(1957/日)個人の事情としては、その性能はここに置いておくべきものではない。局地的なこの遁走願望は階級脱出の体裁をとりながら、マルサスの限界に達した近世社会の窮状を概観する。 [review][投票(1)]
★3ホットギミック ガールミーツボーイ(2019/日)普通の妖婦物ではない。天然性の媚びを放散する棒読みは苛立ちではなく逞しさであり、昼メロ事案が襲ってもスリラーの居場所がない。男の口説きに焦らしとムラっ気で対応する媚びの実践は、男の焦燥が伝わってくるほど堂に入る。 [review][投票]
★4ハンターキラー 潜航せよ(2018/英=中国=米)人を意地の発動へ追い込む段取りがある。主人が寄せてくる情が義理の負債を負わせる。何としても信用に応えたい切迫は同業の連帯感と混線しながら仮想敵に感化を及ぼす。それぞれの現場で培われる義理の網の目は合成され権力の正統性に力の裏付けを与える。 [review][投票(1)]