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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4キサラギ(2007/日)親密さの地誌が物語を作り、その偶発性がスリラーをないがしろにもする。 [review][投票(1)]
★4LOFT ロフト(2005/日)光と空間の叙述がある閾値を超えたとき、情報の作為性の悪乗りは止まらなくなる。ゲイリー芦屋の劇伴も全く自重せず、「志村うしろうしろ」で腹筋が割れる。[投票(1)]
★4松ヶ根乱射事件(2006/日)セキュリティを担保しほのぼのと事件を押し込める店頭取引と水道局のカウンター。鮮烈な雪の反射光を封じ込めるのは寒々しい青のルック。ぬるま湯なのか、閉塞感なのか。[投票(1)]
★4善き人のためのソナタ(2006/独)女優とよろしくやってるイケメン演出家とアパートにデリヘルを呼ぶ孤独なおやぢ(=俺)。壁が崩れて以降、目から汗が止まらなくなる。 [review][投票(1)]
★4秒速5センチメートル(2007/日)過去が歳月を持たない記憶となったとき、青年は虚実の到達関係を立証しようと試み敗北する。光暈と修辞の凝固した地層は決壊し、思春期の殺人的な情報継起の体感速度(秒速5センチ)が宇宙を蹂躙するのである。 [review][投票(1)]
★4海と毒薬(1986/日)ほとんど猟奇ショーの言い訳にしかなってない文芸モードが、かえって露悪的な歓楽を成田三樹夫の強烈な現場主義とともに充填するのである。[投票(1)]
★4ディパーテッド(2006/米)トニーとアンディが普通のあんちゃんになってしまった……。ただ、アンソニー・ウォンがマーティン・シーンに変貌したのは地味に凶悪。ただの善良なおやぢにアレはやめてくれ。[投票(1)]
★4スパイ・ゲーム(2001/英=米)ごく個人的なツンデレやおい芸が変態的に広汎化するセカイ系。投じられる資財のスケールが映画であることの正当性の確信に満ちている。[投票(1)]
★4江分利満氏の優雅な生活(1963/日)この桂樹は社長シリーズとコンテンポラリーの彼を結ぶ架け橋みたいなものか。当事者になれなかった、産まれ遅れた戦中派の苛立ちと無責任と安堵感が分別不能になっていてカワイイ。[投票(1)]
★4スティング(1973/米)偽装ノミ屋に集うプロのおやぢどもの顔、顔、顔! 至福の目眩を覚える。[投票(1)]
★4ベルファスト(2021/英)大状況が、移動すれば終わってしまう課題に矮小化される。ヤクザ・入院・滞納といった日常の脅威は段階を踏むが、父のキャンブル癖は世界の果てまでついてくるだろう。 [review][投票]
★4スパイナルタップ(1984/米)状況の裏付けのなさに由来する笑いが、迷路のようなバックステージをさまよううちに、80年代を文化的閉塞物として捕捉する。批評精神の発揮は、終わろうとする幼年期の古典的な辛みによって状況を迂遠に裏付け、 [review][投票]
★4セイント・フランシス(2019/米)同情と共感に誘導する技法は共通の敵を次々と投入し好悪の間合いを操作する。外敵は常にマウントや政治を抑えきれない類型的な姿で襲いかかる。観念に対抗し和解を促すのは、尿漏れや生理といった器質の圧である。 [review][投票]
★4破れ太鼓(1949/日)経済の利害は時代を越えるために、阪妻の辛みだけが伝わってくる。彼の人生に話が帰着するに及んで、辛みは逆流して阪妻は昭和のモラルを越えていく。彼は女中の病気に偏見を持たないのだ。 [review][投票]
★4恋は光(2022/日)男の幸せを願う女は文系の邪念から男を救うのだが、自分は恋と憐憫の区別をつけられなくなる。そこに端を発する恋の光が見えない問題を物語自体は把握していない。 [review][投票]
★4ブルー・バイユー(2020/米)犯罪に飛躍しても大して重大視されない時点で社会小説として終わっている。出生の起源に向かう高揚や元夫の変貌を軸としたオッサンたちの連帯といった劇画ならではの展開は、娘を男たちの世界への闖入者に見せてしまい、社会批評とは真っ向から対立する。 [review][投票]
★4陽のあたる坂道(1958/日)千田是也一家の気持ちの悪さが一個の怪物を育んだ。これに自覚的な物語は、クズ情報の開示が始まれば、小高雄二の長い顎に難なくサイコ的風采を付与する。サイコとの遭遇という受け手にも共有できるリスクが三角関係のハラハラを充実させる。[投票]
★4カインド・ハート(1949/英)ことごとく後継者が資質を欠くとなれば、デニス・プライスの性能ならば企みを画さなくとも自ずと機は熟したと思われる。後継者たちの個性を誇張する苛烈なメリトクラシーは、能力を当人から自律させ発揮させずにはいられない。 [review][投票]
★4ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023/米)全編に立ちこめる霧のような感傷はドニーの扮装に由来するノスタルジーにすぎないのか。体のキレが人々から貫録を奪い続け、氷結した時空に成熟を見失った男たちは大階段を上っては転げ落ちる。 [review][投票]
★4煙突の見える場所(1953/日)時折爆発するホームドラマには場違いなレイアウト主義の冷たさは関千恵子や田中春男ら境界人を容赦なく怪物にする。劇画化は育児ストレスとの混線に過ぎないにしても、赤ん坊は淡々と大人たちの愛欲を交通整理し高峰と芥川比呂志をラヴコメになだれ込ませる[投票]