★4 | 夜がまた来る(1994/日) | 90年代の根津甚八は甚八であることがさぞかし気持ちよかったであろう。 [review] | [投票] |
★4 | 緋牡丹博徒 花札勝負(1969/日) | パンパンに膨れ上がった小池朝雄の頬が圧となって、ナルシシズムに酩酊する藤純子の鼻筋を事件に組み込んでいく。論理の運びに身を任せ、いつしかアラカンの頑張に「親分! 親分!」と盛り上がってしまう嬉し恥ずかし。 | [投票] |
★4 | 白昼の死角(1979/日) | キャスティングの違和感は、中尾彬の顔面が最後はモンタージュ写真へと解体されて事が瓦解することで報われている。千葉真一の便利さも筋のスポイルではなく下士官の忠誠として読み解かれる。 [review] | [投票] |
★4 | ノロイ(2005/日) | メタボ特有の陽気な感じが事を悲劇にするはずがなく、喜劇に向かおうにも、恐怖を特定しその尺度を担うはずの霊能者が錯乱しているから、悲劇か喜劇かの舵取りに能わない。結果、中盤以降、アンサンブル・キャストが互いに進行を打ち消し合う停滞に見舞われ、 [review] | [投票] |
★4 | 月はどっちに出ている(1993/日) | 絵沢萠子との絡みでは、現金仕送りの件がそうであるように、善と生活力の優れた例化が観測できる。他人の悲劇に基づく喚情には節度があって、それが内藤陳の好ましい機能的色彩と呼応する。 [review] | [投票] |
★4 | スローなブギにしてくれ(1981/日) | ナルシシズムを散らすための客観視のツールとして喜劇を用いるならばオッサンの邪念はむしろ加速するはずだ。そうではなく、伊丹十三の怪演を分水嶺にして、むしろこのハーレムが喜劇の必然性の根拠となる。 | [投票] |
★4 | 白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊) | 悲劇を喜劇の間合いで同定するスノビズムを牧師クラウスナーのヒール化が克服する。なぜ悲劇が楽しいのか。物語は懲悪という娯楽の実践へ送り返されたのである。 | [投票] |
★4 | セント・オブ・ウーマン 夢の香り(1992/米) | 長期的な利益を鑑みても答えは明らかでありパチーノが師父をやる余地はなく、自殺幇助を強制する迷惑な話にとどまっている。パチーノの哀れに注力しても中盤のタンゴがピークアウトになる。 [review] | [投票] |
★4 | マスク(1994/米) | 元々奇人のジム・キャリーである。マスクを被る意味はないのだが、筋をコメディの文法に依存しないことで、話は安心できる正調のクライムムービーとなっている。 [review] | [投票] |
★4 | 偽りなき者(2012/デンマーク) | 女児が性愛という自然に乗っ取られることも、カウンセラーの誘導尋問が無能の迫力を以て事態を膨張させるのも、何かに身を委ねることへの愛癖だ。 [review] | [投票] |
★4 | ブーリン家の姉妹(2008/英=米) | 能力の定義をめぐる話で、人間の淘汰に関心があるのだから、無能を無能と見せないさじ加減がサスペンス感をもたらし、それはナタリーの焦らしテクとして開花する。 [review] | [投票] |
★4 | タイタス(1999/米) | ネタ映画である。旧劇の大仰な芝居から微細な心象がこぼれる隔靴掻痒も、レ〇ターをそんなに挑発していいのかという嬉しいドキドキも、すべて、こんなオファーされて当人怒ってないかというメタな不安にたどり着く。 [review] | [投票] |
★4 | ランボー ラスト・ブラッド(2019/米) | 粘りのない老人演出の明るい諦念は人体をカジュアルに破壊する喜劇に想到し、スタローンの安い声音が状況を超越していく。男は無力に頌揚を覚えたのである。 | [投票] |
★4 | 善き人(2008/英=独) | 運に寵愛される不安じみたフワフワはビルケナウのゆるふわな対比法で懲罰的に模倣された。しかしその自己顕示的迫力は叙情というよりも叙事を全うできなかったという根性論に人を傾斜させる。 | [投票] |
★4 | スウィッチ(2011/仏) | ヒロインの混迷を深堀するには明晰さに満ち過ぎる文体が素朴な田舎者の素性を戦闘民族と解するアクロバットに走る。屈折する男たちの北米観に翻弄されながらも戦闘民族の誉にのめり込む嬉恥ずかしさ。 | [投票] |
★4 | パラノーマル・アクティビティ(2007/米) | いや、時折画面の端に見えるデイトレードのチャートの方が余程怖い。ヒロインの友人が可愛い方がよほど緊張する。そもそもケイティが老け顔で... [review] | [投票] |
★4 | REC/レック2(2009/スペイン) | 神が完全ならなぜ悪魔が、という悪魔の曖昧な存在論に手加減や八百長の合理化が託される。その肝試しの運動感覚の懐古な感じが悪魔に人柄を与える。 | [投票] |
★4 | バタフライ・エフェクト2(2006/米) | 幸福に耐えられない貧乏性がある。跳躍への没入だけがスポ恨を模倣する意匠に邪念と貧乏性の苦しい兼ね合いが見えてくる。栄達という邪念。そこに過程がないという後ろめたさ。その極限としての肉体の対消滅。 | [投票] |
★4 | ハイ・クライムズ(2002/米) | 話を脱線させるモーガンのスリリングな酒癖が異性間の友情を叙述するスリルと困難のアレゴリーとなりつつ、アシュレイの人の良さを勇気として把握させる営みに帰結している。 | [投票] |
★4 | 太陽の傷(2006/日) | 台詞を言えば喜劇になるハスキー・ヴォイスの調べに肉体が運ばれていく。当人はかかる離人を当然のように受容し自分の不条理な力に流されていく。持てる力があれば行使せずにはいられない。事件は起きずにはいられない。 [review] | [投票] |