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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4マッチポイント(2005/英=米=ルクセンブルク)いきなり直球のクライムムービーに殴り込みをかける呆気感を、浮気修羅場の不快度でバッファしてしまう職人の技。ヨハンソンのイヤイヤな造形もさることながら、ブライアン・コックスの絵に描いたような善良親父振りも不気味で何げに効いてる。[投票]
★4近松物語(1954/日)媚びに応じない長谷川一夫の中性性と女難を察せない無能力への苛立ちは、女難に気がついて逃れようとするあの俯瞰の坂道をスリラーの文法で捕捉する。男が逃れられないと悟ったとき、中性的鈍麻は性欲の猪突猛進にすり替わり破滅願望という文芸的帰結に至る[投票]
★4黒い十人の女(1961/日)OPクレジットのイヤらしい微笑み一発で、今月は「船越英二=俺」強化月間となった。岸惠子は速やかに俺様を拉致軟禁してしかるべきである。[投票]
★3わたしは、ダニエル・ブレイク(2016/英=仏=ベルギー)心臓に爆弾を抱えた老人を酷使して醸成するスリラーにあって技術的な課題となるのは老体を稼働に追い込む状況の構築であり、官僚制の不条理が今回は利用されている。 [review][投票(5)]
★3そして父になる(2013/日)これは、よほどフランキー側に問題がなければ現状維持が妥当で、そもそも観察に値する現象とは思えない。それを無理に物語の形に落とし込むため、福山の造形が紋切型になる。 [review][投票(5)]
★3レスラー(2008/米=仏)総菜屋の過密な情報量を縫って、エプロン着装のロークが体を駆り立てる。嫌がりながらも習熟は進み経過観察のエンタメが出てくる。こんなものが面白くないわけがないのだが、ここまで器用な彼が窮地に陥る不可解に思い至ると、映画の作為が気になり始める。 [review][投票(5)]
★3ダイナマイトどんどん(1978/日)戦略兵器たる北大路欣也の自罰感情にすべてが左右される清算的な状況こそ、この社会時評が糾弾する態度そのものではなかったか、という悪しき再帰性の局面が、田中邦衛の軟体動物のような投球フォームに官能的な撓りを与える。[投票(4)]
★3パターソン(2016/米)アダム・ドライバーの如何にも暗黒面なタイプキャストの不穏で盛り上げるイヤらしさをファラハニが救っている。彼女の痛ましい天然さがカップケーキという生活力に拡張され、好ましさに変わることで。 [review][投票(4)]
★3哭声 コクソン(2016/韓国=米)話の通底にある啓蒙の教化力とそれに伴う実証精神がシャーマニズムを喜劇に見せずにはおかない。そんな中にあって悲劇を構成するのが、どこかで致命的な選択をしてしまったという、難病物が追及する感傷に近いものである。 [review][投票(4)]
★3ブルックリン(2015/アイルランド=英=カナダ)女が男の選択に当たって甲乙つけ難い状況に至ったとき、それは成り行きで決まりかねない。女性心理を観察するこの物語はかかる事態を偶然の戦慄として捉える。 [review][投票(4)]
★3マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英)エマ・ストーンのオッサン殺しが板についている。恋愛一般がそうであるように本音が見えない点が狂おしくさせる反面、あまりにもそれが見えないために、ようやく本音が出てもそれを本音だとは信用できない。 [review][投票(4)]
★3ゼロ・ダーク・サーティ(2012/米)作戦を実行するのはDEVGRUのオッサンらである。その作戦の決行を判断するのもオッサンたちだ。これはマヤがいなくとも成立する話である。少なくともそう見せてしまう。そこに語り手が抱える人生の課題が痛切に表現されている。 [review][投票(4)]
★3ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/日)冒頭の奪回戦では、受け手の感傷と劇中のアクションがリンクしない。劇中の人間には目的がある。わたしたちは、その目的やキャラの人間性に共感して初めて、活劇を自分のものとして把握できるのだが、この場面では、共感の手掛かりとなるような情報が開示されない。 [review][投票(4)]
★3ハート・ロッカー(2008/米)発汗とか唾液とか、体液への興味を充足させるアイテム(ストロー、カートリッジ)の強引な使い方がフェチを煽る所もあって、寄りがちな画面も生理的な興味と解せばCQBの誤魔化しとばかりは言えない。しかし雨樋を滴る水まで粘性を獲得するのは露悪的か。[投票(4)]
★3カジュアリティーズ(1989/米)今回はモリコーネの浪花節に増感された、ただでさえ大仰なデ・パルマ節で、状況がショーン・ペンとマイケルの痴情のもつれとしか解せない。マイケルには鬼畜度を緩和させてしまうショーンもアレだが、マイケルの勇敢さもその好意への甘えに見える。[投票(3)]
★3イレブン・ミニッツ(2015/ポーランド=アイルランド)ドミノ倒しのようでいて、その体を成していない。むしろ、薄毛髭オッサンらの肉壁で成形されたピンボールである。筋の離断で宙に浮いた関心が装置自体への興味へ向かう。筋のない辛さが何か醜いものを見たいという倒錯を誘う。 [review][投票(3)]
★3ダンケルク(2017/英=米=仏)浜辺の静寂が意味のない現象としての災難の徒労を訴える。魚雷の夜襲だけなら刹那的な海猿で済むものを、訓練と称して謎次元から小銃弾まで撃ちこまれると、堂々たる佐藤純彌のパニック大作の風格に。ただ、ヒューモアのない純彌なのである。 [review][投票(3)]
★3マグニフィセント・セブン(2016/米)戦線の構築がむつかしい開けた地形が災いしているのか、被写体の位置や攻め手が進行する方向が明瞭さを欠いている。見た目優先でレンズが選択されるから、被写体間の距離もつかめない。 [review][投票(3)]
★3ラ・ラ・ランド(2016/米)エマ・ストーンが挫折した女優志望者をやる茶番が業界人のオナニーになりそうなところをギリギリでとどまる。事件のたびに、天然隈取りのような、肥大化したあの顔貌の諸パーツが福笑いのようにバラバラになりはしないかと、戦慄が走り続けるのである。[投票(3)]
★3映画 聲の形(2016/日)声を失った人間の内面に言及が少ないのは、台詞に依存してキャラの感情を説明しようとするロジカルな態度の証左なのだろう。 [review][投票(3)]