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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★3激動の昭和史 軍閥(1970/日)加山雄三の面の皮の厚さが北村和夫らに受容されてしまう若大将の現実充実の浸潤力が 小林桂樹を青大将化するにとどまらずその心理劇に傾斜させ、桂樹はストレスを糧にして鬼神化する。『黒い画集 あるサラリーマンの証言』や『』の事実上の姉妹編である。[投票(2)]
★3野火(2015/日)肺病、飢餓、捕食の危機が出来の悪いリアリティショーのような偶然によって悉く無効にされる。飢餓で昏倒していたその傍から出奔するように。 [review][投票(2)]
★3ハクソー・リッジ(2016/豪=米)痴性を聖化する営みが保守的な政治観と連携している。フォレスト・ガンプ的であり、聖化がスコケマシに派生するように、具体的な状況設定にも共通するものがある。 [review][投票(2)]
★3LOGAN ローガン(2017/米)子の逞しさが父性の目覚めの障害となる。子どもはすでに自律していて、父親を必要としていない。代わりに老人に必要とされても詮方なく、しかも二重遭難になってしまう。 [review][投票(2)]
★3午後8時の訪問者(2016/ベルギー=仏)発端となったイベントが、素人捜査に駆り立てるほどの罪悪感をもたらし得るものだったのかどうか。その心もとなさが、出来の悪い火サスのような行動の飛躍をもたらしかねない。 [review][投票(2)]
★3ヴィンセントが教えてくれたこと(2014/米)介護施設の支払いが滞留したら即退場で自身の借金すら卒中で帳消しになる。多段式ロケットのような捨て身の迫力である。 [review][投票(2)]
★3山河ノスタルジア(2015/中国=日=仏)軽飛行機とダイナマイト。字面だけで楽しいこの見世物小屋精神が人の決断の瞬間を隠ぺいすることで選択を説得的にしてしまい、アレゴリーという知性に至る。 [review][投票(2)]
★3悪童日記(2013/独=ハンガリー)架空の舞台を裏打ちするべく凝縮された美術が物語の背景として定着せず分離している。人々の動機となる生活の艱難が豊饒な画面からは実感できず、もっぱら困難は言葉で説明されている。 [review][投票(2)]
★3FAKE(2016/日)神山典士の受賞パーティーもサイン会の現場も突撃してくる森達也を受容できてしまう。わたしはこの平和な感じが好きなのだが、業界人が馴れ合うさまは被写体の男を疎外して異邦人にする。 [review][投票(2)]
★3独裁者と小さな孫(2014/グルジア=仏=英=独)架空の舞台の構築に社会科学的なこだわりがない上で風刺を行おうとすると文体がマンガになりかねない。マンガであることは老人のサヴァイヴ能力を魅惑的に見せてくれるが、この老人が魅力的になるほど、苛政を行う人物像と矛盾を来してしまう。 [review][投票(2)]
★3母と暮せば(2015/日)爆心下の有様を定常的に観測することで無批評性という洗練の極限に達した精神が、最後には正視に耐えられない悪趣味なまでに絢爛とした画面を構成してしまう。さまざまな文法がただ混濁するだけではなく性質の振れ幅も巨大で戸惑うのである。 [review][投票(2)]
★3クリード チャンプを継ぐ男(2015/米)才能も金も女もある門閥貴族の二代目襲名披露そのものを、興行に耐えうる物語に仕立てるのはむつかしいだろう。その才能も金もアドニスの責任の範疇にはないからだ。責任がなければ共感を誘うような課題が生じがたい。 [review][投票(2)]
★3カムイ外伝(2009/日)技術によって表現の制約からの解放されたのならば、静物であれ動物であれ、ほんらい省略すべき運動の過程をすべて押さえたいとする貪欲さが、話の生真面目な調子から浮いているように見える。 [review][投票(2)]
★3狂った野獣(1976/日)この話の下世話さは、鶏小屋に突っ込むバスによく表れていて、実に他愛もない場面を高速度撮影で一大事のように扱う大仰さがある。混乱するばかりだった乗客たちをマスメディアの前では豹変させて和解を演じさせる批評精神にも良い印象がない。ただ、 [review][投票(2)]
★3ターミネーター:新起動/ジェニシス(2015/米)何度でもやり直せるのなら感傷は醸成されない。それは、一回の人生しかない人物に担われるものだろう。 [review][投票(2)]
★3ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米)キャラの強度を競う点では、事態を動かしているショーン・ハリスに分があって、トム・クルーズはその敵ではない。ショーンが戦っているのはトムではなく自分自身である。つまり、レベッカに対する甘さとして現れてくるような、自分の性衝動と彼は戦っている。 [review][投票(2)]
★3危いことなら銭になる(1962/日)たとえば、武智豊子の老醜が、シガーというガジェットによって好意的に包摂される。遁走する宍戸の、脱兎のようでいて同時に緩慢な逃げ足の醸すこそばゆい滞空感が、話のこうした親和力を象徴するかのようだ。 [review][投票(2)]
★3龍三と七人の子分たち(2015/日)老人に対する周囲の善意によって、かろうじて成立している綱渡りのような話であって、あくまで現実に定着しようとする半グレたちは、同時に、かかる空想の産物らを壊しはしないかと気の使い過ぎで、気の毒に見えた。 [review][投票(2)]
★3トロピック・サンダー 史上最低の作戦(2008/米=独)リアリズムの水準を下げなければ、コメディは成立しない。しかし、水準を下げるあまり、全てが八百長となった舞台上では、物を語るという論理的な営みは無効となる。 [review][投票(2)]
★3アデルの恋の物語(1975/仏)人を不快に慣れさせないための、漸進的に亢進する病理が、映画の時空間を巻き込み、それを信用におけないものにしている。騎乗演習中のピンソンをストークするアジャーニの移動距離から、瞬間移動的な違和感は始まり、 [review][投票(2)]