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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★3ウォーターボーイズ(2001/日)観念的には青春の消化不良によって状況に追い込まれていく。チケットと‟合宿”という先約された物理的要件は観念を下支えするにとどまらず、手段と目的が逆転するほど段取りにのめり込む。追い込まれる状況の定義に誤誘導があり、 [review][投票(1)]
★3ある男(2021/日)安藤サクラと比較すれば窪田正孝の負い目は薄くなる。自分の決断が招いた災厄だから安藤の自責には根拠がある。窪田の境遇に自身の責任はなく、しかも不利益は内面にとどまり社会化が乏しい。負い目の社会化は妻夫木聡を通して代理的に発現するに過ぎない [review][投票(1)]
★3ワイルド・スピード スーパーコンボ(2019/米)不可能がない裁量的技術至上主義は不安をいかに知覚するのか。サイズが三者三様のヒゲに覆われた卵たちが、慣性力によって車中を縦横し女の下肢に巻きつかれ宙づりとなる。 [review][投票(1)]
★4イニシェリン島の精霊(2022/英)コリン・ファレルを沈思させれば、文法上は彼の主観に入ったことになり、境界知能に自省が生じたと思わせる。しかし直後の行動で、男は学習を拒絶し自らの自意識の欠落を表明し、受け手との視点の同期は誤解だったと判明させる。 [review][投票(1)]
★3ホテル・ムンバイ(2018/米=インド=豪)地元ポリスコンビを漫才にしてしまうアジア的叙法と銃殺の現場を生態的に捕捉する距離感。相矛盾する感覚の通底にあると思われる通俗趣味は、筋に方向性を与えない代わりにその可動域を広くして次々とギミックを展開する。 [review][投票(1)]
★3崖上のスパイ(2021/中国)目的は明示される。手段がほぼ全編にわたり不明である。この前衛的な構成によって劇中人物たちは手持ち無沙汰に陥り、マンガのような洋館で食って寝るだけの喜劇をやり始める。リウ・ハオツンも場違いの感が甚だしい。 [review][投票(1)]
★4クリード 炎の宿敵(2018/米)劇中で幾度か指摘されるように、ドラゴ親子の恨み節を越える動機を提示できるどころか、逆に彼らの動機を強化してしまう結末でしかない。ジョーダンの方は去勢された男の顔が様になりすぎて、試合終盤ではその負け犬感がドラゴ組の悔しさと混然一体となる。 [review][投票(1)]
★3鏡(1975/露)ジト目がたまらないテレホワのやさぐれアイドル映画。女の視点と第三者のそれの切り替えで定義される状況は几帳面に被写体に寄ってワイプする暴力的な方法で仕切られ、絵面の格調とワークの卑俗さは拮抗しつつ諸視点を統合する時空のコラージュを完成させる[投票(1)]
★4土を喰らう十二ヵ月(2022/日)妻と死別した男は正しく年を取れなくなっている。沢田の老いの容貌は声の張りと釣り合わず、大友克洋マンガの老人のように年齢不詳である。時が止まっているから人も物も朽ちることはなく、沢田の山荘と奈良岡朋子の山小屋はセットのように生活感がない。 [review][投票(1)]
★4酔いどれ天使(1948/日)事は基本的に志村喬の視点で観測されながらも、絶えず三船の視点に憑依したがる衝動がある。ふたりともムラっ気で分かりにくいのだが、病状に応じて態度を緩急剛柔させる志村に三船がドキドキしてくるのである。 [review][投票(1)]
★3特急にっぽん(1961/日)セットを構築して人間をそこに放り込めば、動線が勝手に筋を動かすはずだ。時の隔たりが人間を理解不能にしても、美術という物証は裏切らないからである。 [review][投票(1)]
★4コンシェンス 裏切りの炎(2010/香港=中国)レオン・ライの顎髭とリッチー・レンの膨張頭髪が互いを引き寄せ合うオッサン連星の公転運動。子犬のようにレオンを慕うミシェル・イェのアイドル性と汚らしいオッサンらの間で鼻の下が伸縮を繰り返す。 [review][投票(1)]
★4最後の決闘裁判(2021/米)野人とインテリの対比が機能しない。事態を招いたのは野人の無能力でもインテリの機智でもなく、単なる性欲への敗北である。見解に矛盾がないので羅生門効果も成立していない。総じて軽い芝居のなか、野人と性欲文系の狭間でウンザリするベンアフが [review][投票(1)]
★4パリ13区(2021/仏)男が教え子と遭遇する出来過ぎた偶然は、良き教師像としての男を提示して女の気を惹く創作上の機能が明らかになると許せてしまう。妹の動画を褒めさせて男の好意を受け手に惹きつけた直後、些事のつまずきで空いてしまう失恋の穴。 [review][投票(1)]
★4アベンジャーズ エンドゲーム(2019/米)サノスを襲うとか石を云々とか動機付けを台詞に依存する朗読劇であり、紙芝居に質感を与えるべくヒゲ面たちが泣き顔の彫を深めていく。要は顔貌の起伏で時空を連関させる類の映画だが、根拠なき接続は無差別と同義であり無差別は自助の実感を失わせる。 [review][投票(1)]
★4モガディシュ 脱出までの14日間(2021/韓国)ドメスティックな題材が矮小さゆえに感情の信憑性に到達することがある。脆弱な外交リソースが路頭を彷徨わせるくやしさ。しかしドメスティックさゆえにアフリカ憎悪には容赦がなくなる副反応がある。 [review][投票(1)]
★4冬薔薇(ふゆそうび)(2022/日)小林薫父子の和解に焦らされる、恋のようなすれ違いのスリルが伊藤健太郎が悪の勧誘に試される形で変奏される。そこに至るまでに、永山絢斗が付け入る心の隙間を熟成する気の長さがある。 [review][投票(1)]
★4トップガン マーヴェリック(2022/米)大人になれなかった物語。問われるのは管理職から逃れてきた技術職の成熟。学級崩壊は必然といえるが、この課題に正面から取り組み解決したID4に比して、こちらはビーチで戯れて有耶無耶になる手軽さである。 [review][投票(1)]
★3キングメーカー 大統領を作った男(2021/韓国)音楽的な演説を始めるソンギュンも”閣下”の一座も挙措は歌劇に準ずる。殊に室長チョ・ウジンのヌルっとした軟体感。話の底流にある実務家蔑視はミュージカルの話法に特有の内容のなさへの自己嫌悪でもあるのだが、 [review][投票(1)]
★4新 極道の妻たち(1991/日)芝居のうまさが祟って高嶋政宏はゴッドファーザーでいうところのソニーにならない。解離する岩下志麻のストレスを追求しようにも息子の没入を厭いながらも母の血は騒いでしまい、収まるところに収まってしまう。 [review][投票(1)]