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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★4バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017/タイ)これでは格差の批評が成り立たないではないか。太い実家のクラスメートと対置しても、学力が高すぎるために、秀才組にも先天的要因の介在が見えてしまい、メリトクラシーを貫徹できなくなる。 [review][投票(1)]
★4アンダー・ザ・シルバーレイク(2018/米)男の内面が受け手には見えてなかったと判明する類の話であり、見えないものを見えてるつもりにさせる、つまり無意識に形式を与える作業は筋の運びを類比的にせずにはいられない。 [review][投票(1)]
★4アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017/米)途中で物語の進行が友人ポール・ウォルター・ハウザーに依存し、薄弱なるものへの憎悪とそれが退治される懲悪の心地よさが、格差や文化資本の問題を無効にする。ハウザー退治の後は消化試合となり、後日談では悪友から解放された安堵が広がる始末である。[投票(1)]
★4フリー・ガイ(2021/米)人間よりもAIの動機がはるかに強い。彼らは生死を脅かされている。事件の端緒は恋を覚えたAIに発している。AIを現実の踏み台にしたのは誤りだろう。作者がAIの恋に気をやった痕跡はあるが、解法が見つからなかったのか、その顛末は投げ出しに近い。 [review][投票(1)]
★4君の名前で僕を呼んで(2017/伊=仏=米=ブラジル)状況だけに好意の物証を追及する情熱は、背徳のスリラーを景物映画で展開する越境を志向する。関係の逆転に伴って、背徳感は性欲一般に備わる喜劇性に代わり、結末の傷心を緩和すると思う。 [review][投票(1)]
★4連合艦隊(1981/日)男たちの大和』がプライベート・ライアンならば、こちらはポセイドン・アドベンチャーの趣で、個々人の生存の可否に受け手の興趣を賦活させる手管に優れる。財津&中井親子の長生きネタなどは、論理志向が過ぎてブラックヒューモアに近い。 [review][投票(1)]
★4王将(1948/日)筋はつながらない。技術力がカットはつなげてしまう。阪妻の不可解な情熱は技術の例化なのだが、偶然以外に阪妻と交信する術のない水戸光子は宗教的情熱という放心に至り、頻度ないし霊感に交信を賭ける。 [review][投票(1)]
★4さらば愛しき大地(1982/日)80年代の豊饒が場末感を許さないから、叙法はスコセッシ&レオ的なドラッグムービーに似てくる。それは好ましい皮相であって、悲惨を餌食としはしない高潔が、矢吹二朗という俳優の実存論になっている。[投票(1)]
★4遠雷(1981/日)田植え、介護等々、永島敏行が徳の実践を重ねる程に、かえってアタラクシアの危うさが喚起される。モンテーニュによれば、もっとも美しい生活とは奇蹟も異常もない生活であるそうだが、 [review][投票(1)]
★4浪人街(1990/日)江戸東京博物館の常設展示的バロックというべき意匠の欠如。それをまとめ得る田中邦衛の悲劇が、勝新の諦観をミスリードする遠心力に巻き込まれる。劇の構造はぼやけ続け、死に花を咲かせと自己顕示欲が互いを包含する。[投票(1)]
★4魚影の群れ(1983/日)昼間からラーメンと焼酎を喰らっても悲酸を呈しない円楽のキレ具合。顔貌と釣り合わない夏目雅子の昭和な形姿。マグロの、如何にもマグロな覇気のない殺戮。場末を模倣しようとしたアイドル映画の文体的内破である。[投票(1)]
★4その夜の侍(2012/日)懲悪物に全振りはしない。山田孝之の悪がある域を超えると、綾野剛から突っ込みが入る。ストレスがなくてよい。終盤の堺 vs 山田はワンカットのむつかさしさで、憎悪というより配慮の作劇に見えてしまう。 [review][投票(1)]
★4アキレスと亀(2008/日)内面のわからない人であるから、この男をどう扱ったのかという、たとえば六平直政のように周縁の人物を聖化する方向へ自ずと進み、その究極として樋口可南子の聖母化であるが、そこで気づくのである。 [review][投票(1)]
★4拳銃(コルト)は俺のパスポート(1967/日)宍戸錠、そのアンパンマンのような頬が小林千登勢に惹かれ膨張する。膨張の極限には自壊がある。おのれの頬と向き合った彼は独り埋立地に赴く。頬の膨らみを遮るものはもはやない。が、次の瞬間、それは穿孔に嵌る。その快。[投票(1)]
★4台風クラブ(1984/日)表現を顔貌に頼れないなら行動の人になる他ない。多動の人々が一定の空間に追い込まれ、机を組み合わせる落ちゲーに勤しみ、感情の物体化を試みる。現実化さるべき彼岸は土曜半ドンのノスタルジーという台風明けの霊界だ。[投票(1)]
★4アルプススタンドのはしの方(2020/日)試合運びを作者の価値観に隷属させる没精神の営みで冷笑を克服するジレンマ。作為の強烈さは筋を訓致できても実体は騙せない。没精神的な追憶は、後日談での三人の正気を疑う衣装として外化する。[投票(1)]
★4レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019/米)類型を同定する力は自分を知りたい願望であり、その副作用たる脊髄反射の集積としての生体の機械感(ピアノで発情!)。その実体化としての悪趣味寸前の美術の集積度。作者の好きなものしかそこには映らない。自分の中に没落していくその無窮動の威力。[投票(1)]
★4蜜蜂と遠雷(2019/日)斉藤由貴を頂点とする恐るべき群集自己愛劇。ただ一人自己愛を抑圧する松岡茉優の眼力は、腸からの失気を恐れるかのように不自然だ。遠雷とは自己愛の腹鳴。心傷への酔い痴れには漏れ出る気体の芳しさがある。[投票(1)]
★3スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米)死んだり蘇ったり、実に忙しい。雌が強すぎる気まずい三角関係は特異な死生観の結果なのか。生物の必然性から逸脱した事態に際して、感情を文芸的に拗らせようもなく困惑するボイエガ。対してドライバーの馬面が為す術もなく伸びやかになる特殊顔相学の夕べ。[投票(1)]
★4フィッシュストーリー(2009/日)全貌の露見に至って判然となるのは、隠蔽された筋というよりはむしろ、おかしなことをおかしく表現してきた舞台調のオーヴァーアクトによって仕込まれていた誠意の圧である。 [review][投票(1)]