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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★3夢二(1991/日)原田と玉三郎に演技を矯正されても、キャピキャピする大楠に悲鳴を上げてしまう沢田。彼の躁は観測の権利を巡る闘争に起因するのだが、この舞台調では観測が原理的に困難である。効いてくるのは原田が体を張って作った沢田不在の時間だ。[投票]
★4恋の渦(2013/日)友人を選べと背反する選択を迫られる。傍流として背反すべき選択を受容するややサイコ的な感性がある。不倫がかえって愛を実証すると男はいう。友人を選ぶ背反の先には友人と恋人の選択がある。しかし友人を恋しがる男を見て女は軟化する。 [review][投票]
★4スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019/米)時折視点が合ってしまう。合ってしまうから逸らしてしまう。女の好意を小出しにして恋しさを煽る障害を案分する際に、少女漫画にとってのアメコミの異質性が利用されるだけではない。鬼神は少女漫画に引き寄せられ合理化され、礫岩的構成すら解消される。[投票]
★4スパイダーマン:スパイダーバース(2018/米)ジャック・タチ的な疎外された叔父たちの不穏を範例として、恋人や家族の喪失が次々と派生し明るい筋が陰翳を孕み続ける。その因果の感覚はMJとのすれ違いコントの哀感となり、コスプレ趣味の中年が衣装のまま頓死する醜態を晒すほどその人間類型は重い。[投票]
★4続人間革命(1976/日)あおい輝彦の色気が男を捕捉した。折伏はナンパ術となり、美青年を唆す古典劇に丹波演説は放縦する。教義の核心へ男を近接させるのは渡哲也の色気。その窮極にある仲代達矢のシェイブドヘッド。今や人間の生理に根拠を得た演説は朗々と昂じ始めSF化する。[投票]
★3人間革命(1973/日)敗戦のトラウマを利用して男を動機づける起業映画としての体裁が、拘置所の大回想が始まると独房に木霊する喘ぎ声に挫かれる。教義は倫理的な応報機構からの解放を求めるが、宗教の近代化は宗教を無用にする意味で論理エラーである。 [review][投票]
★4震える舌(1980/日)発作によって緩急を管理するディザスタームービーの書式が症候を容赦なく記述していく。そのリアリズムは災厄に際した人間の根性を試しつつも、人をモノとして把握するために必要以上に人のドロドロに踏み込めず、かえって前向きな人間観と共振してしまう。[投票]
★4NOPE/ノープ(2022/米)オカルトという仇を見つけた。叛乱するチンプにトラウマがある。これら動物という自然への憎しみを多重のアイロニーが媒介する。オカルトを退治するのは被害者自身とその係累ではない。 [review][投票]
★4ナイチンゲール(2018/豪=カナダ=米)筋を駆動させる案内人の便利さは能力と徳をリンクさせる。報復を待つまでもなく無能者は全編にわたり懲罰され、歩く災害の迫力と化す。有能な男は迷惑な女を放置できない。 [review][投票]
★4ナビィの恋(1999/日)西田尚美の非日常的な四肢が闊歩すれば、島は民俗村のように生活感を失い、歌劇を筋へ食い込ませる。脱俗の効用はダメ男たちの生態を抽出し課題を普遍化するが、ダメ男が哀しくなるほど、自由恋愛を否定する封建的遺制の利点が再確認されてしまう。 [review][投票]
★4マティアス&マキシム(2019/カナダ=仏)色気の演出とは対話中にあらぬ部位へとズレる視線である。自主映画の演技とストリップバーで混線する欲望である。男に覚える色気はステージで踊る女たちの感化なのか。色気は質感を求めズレ続け同性愛を成熟一般の課題へ逸らす。 [review][投票]
★3劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト(2003/日)組織内事情への内向が抵抗の理由を不明瞭にする。人でない方がかえって幸福に見える。行政案件に政治が対応した類型であり、社内恋愛の拗れが業務を滞留させる。怪人組織がこのロマン主義に苛立つと、各集団の要を得ない目的が理念レベルで浮上する。[投票]
★49人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019/仏=ベルギー)作家志望者の挫折が商業主義の批判にとどまらなくなる。挫折の辛みの強度が主犯の動機すらも凌駕し、それを才能の持て余しという贅沢病にすぎなくする。作家主義が商業主義批判になる理路は切断され、それどころかその批判が無能力への糾弾へと逆流する。 [review][投票]
★3浅田家!(2020/日)就職の心配がなかった点は幸福だったと三島は戦時中を回想している。主夫家庭の不安が安寧を求め、震災というその戦時経済を引き寄せ、事態を社会化するのである。自衛隊は戦時のシンボルと化し、救助そっちのけでひたすら焼野原を行軍する。[投票]
★3死刑にいたる病(2022/日)どこから見ても不審者にみなが嬉々として心を許していく。阿部サダヲがこの無防備に憤るくらいだから語り手には瑕疵の自覚がある。サダヲを招いた被害者の心のスキマこそ問われるべきとされるが、サイコの運動が目指すのは人々の属性の漂白である。 [review][投票]
★4WAVES/ウェイブス(2019/米)子どもをあの境遇においても自動的な反応しか期待できない。そこには自由意志がなく話は世界ネコ歩き程度の表層にとどまってしまう。基本的にスターリング・K・ブラウンがしくじった話であり、彼の試練こそ文芸に値する。 [review][投票]
★4ビルマの竪琴(1985/日)川谷拓三一座に厚徳があり、中井貴一の自己顕示欲に苦悶する彼らが忍びなくなる結果、安井昌二版と違って信仰へのフリーライドが胆力となってしまって、85年版が揶揄の対象になる所以となる。三角山から文太が出現してきたイヤさから何かが歪み始める。[投票]
★4極道の妻たち 最後の戦い(1990/日)刑務所で意気地を失っていた稔侍。遭難のトラウマで挙動がおかしくなる中尾彬。行く先々で死体の山を築き、女難の化身となる石田ゆり子。酒精依存の志麻がトロンとしている間に、かたせ梨乃が騒動を引き起こし嵐にように去っていく。 [review][投票]
★4極道の妻たち(1986/日)成田三樹夫以外、みなおかしい。世良公則との絡みで顕著なように成田が蛮人の迷惑を被るのは類型であって、物語はカテゴリーに帰属している。しかし [review][投票]
★4行き止まりの世界に生まれて(2018/米)堕ちる加速感を担保するのは幼児の成長であるが、変貌の有様はメタモルフォーゼに近い。頓挫した時間経過の構成が容姿を非連続化し彼は時間の指標となる。傍観性への陶酔に達した虐待の後遺症が幼児を生体としてしか捕捉できず、あるいは母を素材として見なす[投票]