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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★4女囚さそり 第41雑居房(1972/日)梶芽衣子の超時代的アイドル顔が白石加代子の情熱的なニューシネマを朗誦劇として再構成してしまう。それはフェミニズムと対峙した昭和のモラルの混乱でもある。 [review][投票]
★3ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey(2020/米)政治小説が筋を妥協させ、妥協した筋が政治の信憑性を侵してしまう再帰構造。その無風の中間地帯でキレのない身体と戯れるマーゴット・ロビーは次第に存在を埋没させ、他者の感情の媒介そのものになり、 [review][投票]
★4七人の刑事 終着駅の女(1965/日)リアリズム文法で捕捉された後背の雑踏と芦田伸介の芦田らしいナルシシズム演技がかみ合わず、油断すると口端が持ち上がりそうになる。 [review][投票]
★3ワンダーウーマン 1984(2020/米)致富の代償が知られてはならない。それを知ることがオチになるからだ。筋のこの前提はゲームのルールを無茶苦茶にする。喪失した力はイベントに応じて加減を繰り返す。願いはある程度行けば排他的になるだろう。そこを曖昧にするためにもルールは弛緩する。 [review][投票]
★4犯罪都市(2017/韓国)あんこの体型的矛盾が不安を呼ぶのか、動くたびにドンソクの周囲には物理的違和感が生じ、鉄片がその肉にめり込んでもまことに手ごたえがない。筋と質感は肉壁の霧ないし牢獄の柔らかさに埋没してつかみどころを失い、筋は滑るように進む。 [review][投票]
★4エクストリーム・ジョブ(2019/韓国)無能を実証すべく客が来てしまう。客が来たら仕事にならないからだ。したがって捜査から遠ざかるほど真相に近づいてしまう。それは民話のような痴性の聖化であり、制御される無意識という矛盾を叙述する公案の寓話である。痴性とは無意識の別称なのだ。[投票]
★4ミッドナイトスワン(2020/日)献身されると自由を奪われる。堅気になった草なぎを拒絶してしまうのは、これを知るからである。ダンディズムが自由と独立を希求している。しかし自由の性質を知るからこそ泣訴を活用して人の自由を奪いにかかる。 [review][投票]
★3狂熱の季節(1960/日)ドライバーが車を経て5万円に化けるような計数感覚が日常の秩序に埋没する即自的性格を扱うと、川地民夫は牛乳、新聞、玉子の生活感の体系に現象する。 [review][投票]
★4ただ悪より救いたまえ(2020/韓国)ジョンミンがジョンジェを発動させたのは本来の仕事の外部効果にすぎない。しかも本筋たる誘拐パートと冒頭も関連がない。怪獣映画の劇伴をバックに襲来するジョンジェを乗せた匿名のトゥクトゥク運転手の度胸たるや、あれは何事か。 [review][投票]
★4ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(2019/米)現代劇にベタな探偵を導入し、よりによってダニエル・グレイグをそれに配役する現実準拠の薄さに謂れがないわけではない。アナ・デ・アルマスの無意識によって仮構化された事件は、内容のない罪に苛まれる気持ちの悪さで彼女を圧するのだ。 [review][投票]
★4家族の肖像(1974/仏=伊)叙法に違和感はある。同居人だけの会話場面が少なからず挿入される。彼らは下世話な佇まいの割に金に綺麗なため、全てのキャラの感情が宙に浮く。金の絡みが感情に信憑性を与えるからだ。 [review][投票]
★4さんかく(2010/日)自由と独立を奪われた男は他人のそれを奪うことで喪失を補おうとするが、自由は流通するだけで滞留しない。滞留したら自由ではなくなるからだ。片道通行の自由というこの小さな世界の原罪を引き受けるのは田畑智子。 [review][投票]
★4告白小説、その結末(2017/仏=ベルギー=ポーランド)異なる演技の文法が同一画面で展開されている。セニエは生活感を丸出しにしてエヴァ・グリーンはマンガである。この怪しさに頓着しないセニエの人の好さには作者の徳がもろ出しになっている。 [review][投票]
★4スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(2021/米)事態を持て余すコメディ調の通底が時空に裂け目を作り、その狼狽を具体化している。並行宇宙に由来する感傷がこれに対応する。 [review][投票]
★4ハッシュ!(2001/日)配慮と相対化の工学が、異性愛の成立しえない構造に、不憫さを恋と混線させることで、疑似的に愛の切迫をもたらす。良識をめぐる人の相対性が筋として外化すると、半ば犯罪映画のストレスが民俗学的な誤爆として結実するような比喩の戯れとなる。[投票]
★4はちどり(2018/韓国=米)文明の崩落を叙述する前提として、まず文明自体を物象化する作業がある。それは診断書や漢文塾、究極にはソウル大になるのだが、かかる文明物を文字通り破壊する物証の迫力は通俗と互換して、 [review][投票]
★4ジョジョ・ラビット(2019/米)社会小説は物体の作り込みによってその誠意が担保される。30年代中欧の朽ち果てたインフラは総天然色の箱庭へ化粧直しされる。景物の作り込みは行為に影響を及ぼさずにはいられない。 [review][投票]
★4チャーリング・クロス街84番地(1986/英=米)タバコとボトルの山を築き上げ、60年代を不穏に駆け抜けるアン・バンクロフト。変移する風俗を観測可能とするのは、靴磨き、通勤、クリスマス飾りつけ、投票所、戴冠式中継等々、オッサンの永遠の一日。 [review][投票]
★4ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏)荒唐無稽な虚構と現実との境界は常に明瞭である。喜劇というよりは、安心して享しめるホラーという不思議は、保安官が強すぎる西部劇として、これまたクロスジャンルする。民間人いじめという不穏が喜劇を許容しないのである。[投票]
★4Mr.ノーバディ(2021/米)男と同化するにはナルシシズムに躊躇がなさすぎる。ロシアン・マフィアの心理に近寄れば、禁足地に踏み込んでしまったようなホラーコメディが始まる。禁足地の記号化に秀でるのである。 [review][投票]