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[コメント] エリザベス ゴールデン・エイジ(2007/英=仏=独)

時代は描かれておらず、あくまで一人の人間の歴史にスポットが当たっています。人生の転換点がリアリティーあって、孤高の女王の人生ぽかったですね。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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英国とエリザベス女王が、世界を統べるさまは、戦争のし烈な描写ではなく、違うかたちで描かれています。

ヨーロッパの地図が床に描かれた部屋で、戦略会議をする女王と臣下たち。女王がステッキのようなもので、スペインを指し示す。カメラは、天井付近から撮影。彼女の手に、たくさんの人の人生が掛かっている重さ、怖さ、世界がオモチャのようでもある気持ち悪さが感じられました。本作は歴史や戦争についての映画ではなく、こんな責任を背負わされた人間の息苦しさの物語なのだから、これなのだろうと思います。

さらに良かった点は、エリザベスの転換点についてです。彼女がついに恋をして失恋もして、途方に暮れるわけですが、そこから進めない。恋を期に、失恋を期に、すぐさま大艦隊を率いて国を守るわけじゃない。彼女は、占い師の言葉によって、ただの女性から、女王に復帰する。男じゃなくて、占い師である。自身の進展がこんなかたちでしか起こらないなんて、孤高の処女王ならではのエピソードですね。史実ではどうか知りませんが、いや〜孤独だな。と思いました。

女王的と感ずる良さとしては、王座に座る姿勢ですかね。侍女を躍らせて王座から高みの見物。公式な場所でなくても、女王は、背もたれに背中を付けずに座っている。凛としていて、根っからの女王です。なのに、失恋したとたん背もたれに、だらっともたれかかっていて、それも面白い演出です。

出ずっぱりのケイト・ブランシェットについては、良くも悪くもでした。妙に低くて擦れた声が響くのは良かったし、サディスティックな視線も良い。ただ、お芝居自体は、微妙にクサイ。こんなにヘタだったかい?という感じです。腹違いの姉を処刑するときの取り乱し方なんか、明らかにヘタな芝居です。全体的に力が入りすぎているのでしょうか。勿体無いですね。

部分部分をとると良い感じがするのですが、通すと単調で、上映時間が長く感じました。長い映画ではないのですが。☆3は、こんなあたりから。

(評価:★3)

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