[コメント] 祇園の姉妹(1936/日)
祇園甲部と祇園乙部
当時これを見た祇園甲部の関係者は「あんなんは乙部(祇園乙部)の話やのに、あれが祇園(祇園甲部)の芸妓やと勘違いされたら困るやおへんか、溝口はん!」と憤慨したそうですが、たしかに誤解を生む映画。
梅村蓉子の着物を山田五十鈴にねだられた呉服屋の番頭が「これから花見小路の方(=祇園甲部)回んので、ええもんはたんと持ってまんにゃけど‥‥」「それとあんたはん達(=祇園乙部の芸妓)はあの、人絹の方がよろしおすのやろ」と、釘を挿してはいるんですが、判んねぇよ。
祇園乙部の芸妓(当時芸妓の鑑札と娼妓の鑑札を持った)を描いているのに、実際の「お仕事」のシーンは全く描かず、惚れたハれた、男がどうだ女がどうだ、の繰返し。ラブゲームでオマンマ食えりゃ苦労しないんだよ! と、乙部のお姐さま方からもお叱りを受けそうな、つまりは溝口健二の幻想の中の「祇園」。
これを「リアリズム」と言うのでしょうか?
山田五十鈴の歯切れの良い京言葉が耳に心地良いし、また「ちょっと待っとくれやっしゃ」と鬘をかぶり鏡を見つめるシーンの美しいし、これで三味線の一つも弾いてくれたら私は嬉ションします。
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