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[コメント] 不都合な真実(2006/米)

地球温暖化問題を知る上での入り口としてはいいかもしれない。悲しいのは、アル・ゴアが何を言っても、それが「敗者の弁」であること。
林田乃丞

 冒頭、アル・ゴアは「一瞬だけ米大統領だった」と自己紹介する。聴衆はジョークと受け取って笑うが、あのひと言にゴアの忸怩たる思いが見えていたたまれない気分になった。演説の内容を考えれば他人事ではないし、いたたまれなくなっている場合でもないのだけれど。

 この映画でゴアが語った演説の内容はきっと正しいのだろうし、無学無教養の私ですら「クーラー控えめにしよう」とか「自転車乗ろう」くらいのことは思える。だけど、この映画に胸を打たれたかといえば、全然打たれないのである。

 それはたぶん、アル・ゴアが知っているからなのだ。温暖化対策には個人の心がけも必要だが、強烈なリーダーシップも絶対に不可欠であることを。

 大統領選に敗れた彼はその思いを胸にしまい込んで、次善策的に世界を説いて回っているのだろう。彼を下した現役のリーダーに一切の恨み言をいわない彼の姿勢はたいへんに立派だけれど、結局のところ人の心を打つのは人の魂の叫びだと思うし、人の心を打たない映画には求心力は生まれないのではないかと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Myurakz[*]

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