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[コメント] 虹色★ロケット(2007/日)

高校生なりのヘタな映画だけど、そのヘタさがそこらへんのヘタな青春映画よりよっぽど青春している。
林田乃丞

 もとより「学校のみんなに見せたい」という動機で製作された作品であるから、商業レベルと比較して技術が云々という話はナンセンスだし、それでも時おり光るカットもある。役者陣の演技も芝居と呼べるようなものではなく単に文字を読んでいるだけだが、脚本そのものはエンターテイメントをしっかり意識していて耳に心地よい台詞も少なくない。

 何より、彼らはみんな一生懸命なのだ。「伝えたい」という気持ちにとことん従順かつ謙虚で気持ちがいい。

 おっさん的見地からうがった見方をしてしまえば、この映画は「命についての物語」ではなく、「命についての映画を頑張ってつくった高校生たちの姿」を眺める作品だったと思う。ヘタで不自然な台詞を喋る彼らの姿からは、カットがかかった直後の緊張から解放された笑顔が容易に想像できるし、変な編集点や音量の定まらない録音の裏には「この機材どーやって使うの!?」と四苦八苦する高校生たちの汗の匂いが漂ってくる。

 要するに、『虹色★ロケット』は、これは青春映画なのだ。シュンタくんの情熱とか、彼を信頼する級友たちのチームワークとか、若者なりの命に対する想像力への挑戦とか、そういったピュアな「青さ/若さ」ってやつが、存分に発露しているのだ。

 少なくとも私の高校時代なんぞ省みれば悩むことそのものが美徳というか「悩んでる俺って偉いだろ若いだろ青春だろ」的な感じだったわけで、そういう意味で私はこの映画をつくって同級生たちに「命について」を問うたシュンタくんと仲間たちの勇気とエネルギーを尊敬するし、「最近の高校生はまったく〜」とか言ってる大人たちは是非ともこの作品を見て、彼らの声に真摯に耳を傾けるべきだと思うわけです。

 ラストのテーマ曲も可愛くて好きよ。★4。

(評価:★4)

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