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[コメント] 歩いても 歩いても(2007/日)

いまの日本に、これだけリアルに「家族」を描ける映画作家がどれだけいるだろうかなどと考えてしまった。久々に映画が終わって欲しくないと、思いつつ鑑賞した傑作だった。2008.11 劇場
チー

鑑賞中、小津監督がふと頭に浮かんだ。山田洋次の描く家族とも違う温かい視線からの描写の数々に終始、共感しっぱなしだった。むしろ成瀬監督に近いのか。

阿部寛と夏川結衣のコンビは個人的に好きなので、安心して見ていられたというのもあるが、樹木希林の名演とYOUの好演もあって、「あぁ、家族ってこういうものだな」とある意味、懐かしさを感じながら見た。

ただ、設定上、主人公がほとんど明るい顔をしないことと、家族の会話のリアルさを出すためにせりふのやり取りが中途半端になることが多いので、そういうことが嫌いなきっちりした人には評価されないだろうなと思った。

核家族化によって、「大切なこと」を子供の代へ受け継ぎにくくなっている現代日本の現状を丁寧に描いている。それも説教くささを微塵も感じさせず、軽妙な喜劇として完成しているところがすごい。

(評価:★5)

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