[コメント] ベイブ・都会へ行く(1998/米)
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今作でベイブの向かう行方はいずれも非情と暴力が支配する暗黒世界。 ドラッグ、不潔、汚物、腐敗、腐臭・・・、 あまりにも憂鬱で悲壮で灰色でカオティックな世界。 あの可愛いベイブの世界はどこ行っちゃったんだよ・・・ と思わずため息が出るほど、バイオレンスな超アクション巨編に仕上がっている。
一作目のベイブ好きな人には評判悪いんだよな・・・。 シネスケ見ても、レヴュアーとの温度差を強く感じる。 しょうがない気もするけど、この映画を求めている層にちゃんと届いていない気もする。
僕はこの映画のキャラクターみんなを愛している。 非情に直面する動物たちを心の底から応援せねばという気持ちに駆られる。 それはひとえにこのユニークで洗練された映像が、 一作目とは別ものと思えるほどのクオリティを誇っているからで、 久しぶりにハリウッドの集団の力が一つの方向に集約された時のパワーと快感を堪能させてもらった。 詩情に溢れたイメージの連続が結果的に芸術になっている。
この映像を見ている間気持ちがハイになっていて、 動物たちが奮闘する姿が可笑しかったり涙が出たり、とにかく楽しいのだ。 ネタバレになるから具体的なことは控えるが、 ベイブとブルテリアの追いかけっこのシーンからこの映画は一気にヤバさを増してくる。 完全に陶酔の世界に入っていって、中盤のホテルの手入れのシーンは、 酩酊状態を起こし、さらにそれを深める。 これがナチュラルハイってやつかな? なんですか?このちょっと観進めるごとに湧き上がってくる熱いものは? なんですか?このシーンが切り替わるごとに布団を転げまわって余韻に浸りたくなる衝動は? なんですか?この流れ出る涙は?
この作品見ると、他の映画がもうどうでもいいとさえ感じる。 映画史には残らないだろうが、精緻にして大胆なアメリカ映画の傑作。
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