鑑賞中にため息数回。「おしまい」の文字と共に頭を掻き毟る。ハウルの出来から予感はしていた。宮崎監督は、もはやストーリーのしっかりした映画を撮る気はないのではないか。まさにその予感は嫌になるほどど真ん中で的中する事になった。

一言で形容するなら「ひどい」でしかない。人面魚は少年の一言で勝手に「金魚」になり、その「金魚」は勝手に津波の前兆とされ、勝手に世界は危機を迎えて、勝手にその危機は収束し、「金魚」は自分から少年にキスをして人間になる。そこでシャンシャンって 普通の制作会議だったら遡上にも上がらないでおしまいのプロットだろう。これで通してしまうジブリの現状の体制には疑問を通り越して憂いを感じるばかりである。

宮崎駿監督は自分の世界の中だけで自分が面白いと思っている話をする好々爺になった。それを認識できたのが一番の収穫だったと思う。

(2008.08.02 109シネマズMM横浜)