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[コメント] アキレスと亀(2008/日)

本来「才能」を切り売りする職業は、その才能で他を圧倒するか、幸運を味方につけるしかない。そのいずれも不可能な大多数は、自らその道から外れるか、程度の差こそあれ真知寿(ビートたけし)のようになっていくのである。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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真知寿が持つ狂気の表現は秀逸であるが、ストーリーには不満が残る。具体的に言えば、ラストに救いを持たせる必要はなかったと思うのである。

北野武監督は、「ほぼ日刊イトイ新聞」内のインタビューでプロデューサーから止められたひどいエンディングがあることを明言している。それはそうだと思う。長年創作に付き合い、創作の過程とはいえ殺しかけて別れを切り出し、死んだ娘の顔に口紅を塗りたくって死相を紙に写し取る姿を見て「狂ってる。人間じゃない。」とまで言い放った妻が最後の最後に帰ってくるオチは端的に言って不自然である。真知寿の絵は画商やカフェに飾られていたのである。それで十分ではないか。

この意味で、あまりしっくりと来ない作品であった。

(2008.09.20 TOHOシネマズららぽーと横浜)

(評価:★3)

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