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[コメント] ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009/米)

面白い作品であることに異論はないが、笑えるかというと微妙。日本においてコメディ作品をヒットさせるのが難しいというのは、背景文化云々以前に映画で繰り広げられる状況に反応する素地がなくなっているというのが一番大きな原因ではないか。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作、繰り出される笑いのポイントでちゃんと観客が反応することを前提に作っているのではないかと思う。酔いからさめてみたらトイレにトラがいるとか、ホテルに預けている車がパトカーだとか、警察署の見学に来た子供たちに見せるためスタンガンの実験台にされる(そのうちのひとりが決闘みたいな演出をされるところ)とか、披露宴のダンスタイムで歌手がド直球の下ネタを繰り出すとかこういうシチュエーションで「んなわけあるかい!」というような反応を示さないとボケっ放しの作品になってしまうからである。

しかし、日本は「上映中はお静かに」の文化なので、この要請にこたえるのはなかなか困難である。反応する、つまりは笑うことの障壁を客席の誰かが下げられれば印象は変わると思うが、もどかしさの方が残る作品である事は間違いない。

ストーリー展開は上手いと思ったので、個人的には十分満足はした。だがこの作品で上映中一切クスリとも笑いが起きなかったこと、また、このレベルでスルーされそうになったことを鑑みると、コメディの障壁の高さおよびレッテルの強烈さは絶望的な状態にあると判断せざるを得ない。まずは「私語(子供の下衆なツッコミ含む)」と「反応」の違いを観客が認めるところから始めないと、映画的体験が損なわれてしまうのではないか。そんな危惧すら抱かせる作品であった。

(2010.07.04 横浜ブルク13)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] DSCH[*] のこのこ

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