アイアンマンことトニー・スタークの父、ハワード・スターク（ドミニク・クーパー）が出て来たり、アイアンマンシリーズで前振りしたニック・フューリー（サミュエル・Ｌ・ジャクソン）を出すなど細かく興味を引く箇所はあるのだが、ヒドラ殲滅という本作のメインシーケンスの扱いが軽いため、それほど満足できる作品ではない。おそらくはキャプテン・アメリカというキャラの持つ知名度によりそれほど細かく描く必要はない判断したのではないかと推測するが、そうであるならば本作で何を描きたかったのかはもっと明確にすべきだったのではないか。

そもそもキャプテン・アメリカは人間の能力を強化してはいるが、何か特殊能力を持っているもしくは特殊な武器・アイテムを使うヒーローではないので、目を引く見せ場を作るのは難しい。その状況で３Ｄを使って新しい表現に挑戦するわけでもなく、思わず唸るアイデアが出てくるわけでもなく、出来る範囲で出来る事をやっているので、他のヒーロー物と比べて地味になる可能性が高い。それでも、キャプテン・アメリカをやるのはなぜなのか。本作からは見えてこなかったのは残念である。

まぁ、ぶっちゃけてしまえば「『アベンジャーズ』やるためには、キャプテン・アメリカ知ってもらわなきゃだめでしょ？」というところなのかとも思う。その程度なら無理することはなかったのではないか。かなり消化不良。『アベンジャーズ』でそれが解消されるのを期待する。

(2011.10.14 TOHOシネマズ上大岡)