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[コメント] おおかみこどもの雨と雪(2012/日)

荒唐無稽・ご都合主義な箇所が見え隠れするのはよくよく承知の上で、それでもこの評価にしたい。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半では韮崎(菅原文太)の話へのかかわらせ方が都合が良すぎるし、後半ではおおかみとなった雨(西井幸人)と雪(黒木華)を屋内でケンカさせてしまっては家の破損状態やら両者(特に雪)の怪我の状況から、異常事態なのが周りの人たちに悟られてしまう可能性が高すぎるにもかかわらず、そこをさらっと流してしまうのは疑問に思わなくはない。

だが、それ以上に「良い」シーンが多い。草平(平岡拓真)に怪我を負わせてしまった雪が車中で花(宮崎あおい)に謝るシーンや、「先生」の後を継ぐことを決意して完全な狼の姿になった雨を前に花が「まだ、何もしてあげてないのに」と告げた時、雨が(狼なので)表情だけでその言葉を否定するシーンはたまらなく愛おしい。草平が「知ってたよ」と雪に告げるところも良かったなぁ。

それまでに何気なく提示される普段の生活のシーンが漏れなく生きているからこそ、こういった部分で一気に感情が揺さぶられる。細田守監督の手腕はやはり素晴らしい。

とにかく良い作品を観た。その充実感は久しぶりであった。

(2012.7.21 シネプラザサントムーン)

(評価:★5)

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