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[コメント] 横道世之介(2012/日)

各エピソードの語り手の笑顔がはっきりと見える。それが本作の良さだと思う。
Master

**ネタバレ注意**
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「説明が足らない」という感想が散見されるのだが、本作において語られていない部分は基本的にどうでもいい(どう観客が想像しても構わない)部分であり、かえって世之介(高良健吾)が近くにいたその時期の輝きが強調されていると思う。その効果こそが本作の肝の部分である。

一見重要とも思える世之介と祥子(吉高由里子)が別れた理由も説明されないが、それを説明することの必要性が本作のどこにあるのか。

劇中、世之介は何かに没頭すると連絡を絶つと言う描写があり、祥子は自分から連絡を取ろうとしないことも描かれているので、カメラに夢中になった世之介からの連絡が途絶え、関係が自然消滅したという程度の後付説明は可能だが、それにどれほどの意味があるのか。

本作が描いているのは「楽しかったあの日々」の思いである。それを表現するために何が必要なのか本作はよく考えていると思う。

ラストシーン、あの坂道で写真を撮る世之介には自然と笑顔がこぼれた。観客にもその笑顔があったならば、本作は成功したのである。そして本作は成功したと僕は断じる。

(2013.2.24 シネプラザサントムーン)

(評価:★4)

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