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[コメント] 人類資金(2013/日)

一言で言えばもったいない。2人、キャストを再検討するだけでも見栄えはかなり良くなるはずである。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







笹倉暢彦(仲代達也)が結局どういうグランドデザインを持って事に当たっていたかが良くわからないなど脚本にもブラッシュアップの余地はあると思うが、それよりも単純に2人のキャストに明らかに守備範囲外の役を割り当ててしまったがために、要所要所で急ブレーキをかけられる印象があるのが問題。

その二人とは香取慎吾観月ありさの両名である。

香取が演じた役は相当ハードルの高い役で、仰々しさと切れ者感の中に若干のボンボン感というか世間と隔絶された印象を併せ持たねばならない役で、すべて彼の中にはない。藤原竜也あたりが似合いそうな役であり、受ける方も受ける方だがオファーする方もオファーする方と言わざるを得ない。頑張っているという評価はできるのかもしれないが、彼の「一緒に世界を救ってみませんか」という台詞には説得力が圧倒的に欠如している。この役においては大問題である。

観月も観月でなぜ身体能力を必要とする役を受けてしまうのか理解に苦しむ。あなた「あさくら〜」言われてるだけのコメディエンヌでしょ?栗山千明あたりに任せればいいの、こういうのは。

とは言え、自分のイメージにないものに挑みたいという気持ちはわかる。特に香取は普段一緒に活動しているグループのメンバーに全くイメージにない役を演じて大絶賛された者がいるので、自分も・・・、と思ったとしても仕方ないかもしれない。ただ、無い袖は振れない事を彼の周りも含めていい加減に学ぶべきである。

それに引き替え、佐藤浩市森山未來はさすがである。特に森山、国連本部での演説シーンは良くやりきったと思う。カペラ共和国という架空の国の代表として喋っているのに人々の善意が集まった例として東北震災にしか触れないという脚本上のミスはあるが、それを差し引いてもなかなかの外見的説得力であった。

それだけにやはり二人のキャスティングは惜しいことをしたと思う。少なくともここの評価で4は取らなければならない素材であった。こうなったのは残念である。

なお、本作で「ルール」として描かれる金融資本主義の対抗概念として「公益資本主義」という概念を唱えている人たちもいる。興味のある方は以下のホームページなどを参照ください。

http://www.allianceforum.org/publicinterest/

(2013.10.20 シネプラザサントムーン)

(評価:★3)

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