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[コメント] イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(2014/英=米)

エニグマ解読後の彼らの行動に戦慄する。彼らの立場からすれば当然のことだが、その重さは想像の域を超える。それは戦後も自分の仕事に対して口をつぐまざるを得ないだろう。
Master

**ネタバレ注意**
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鑑賞後、真っ先に浮かんだ感想は「これは確かにおおっぴらには出来ないな」というものであった。

アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)以下、ブレッチリーパークの5人がエニグマ解読後にやっていた仕事は「命の選別」に他ならない。エニグマ解読をドイツはもちろんイギリス国内でも悟られないように「最少の行動で戦争に勝つ」事を目指した。それは大勢に影響がないならばそこに対処はしないという意味でもある。

そのことは間違いではない。部分最適を優先した結果全体最適が損なわれては何の意味もない。論理としては間違いがない。しかしながら、切り捨てられる側の立場からすれば、どうしたってやりきれなさが残る。

アランがその後に歩んだ人生が偏見に基づいた悲劇であり、そこも当然触れるべきと思う。しかしながらこの「切り捨てられる側」の事が頭から抜けず、「あなたが救った町であなたが救った男から切符を買った」というジョーン(キーラ・ナイトレイ)の台詞も自分の中にすんなり入ってこなかった。

神の領域に足を踏み入れた、その恐ろしさに圧倒される鑑賞であった。

(2015.3.29 TOHOシネマズ小田原)

(評価:★4)

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