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[コメント] 来る(2018/日)

単体作品で評価すれば久々の中島節が堪能できるのだが、鑑賞中、強烈なある先行作がずっとちらつき続けて没入しきれなかった印象が残る。
Master

**ネタバレ注意**
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ポップさとエクストリームさが共存するスプラッタ表現であったり、人間が持っている「嫌な部分」を露骨に出してくるストーリーだったり、中島哲也監督が過去に見せてきた世界観が本作でもしっかりと息づいていて、存分に楽しませてもらった。

メインキャストの4人にそれぞれ「見せ場」があるし、脇もどうしても柴田理恵が目立つが、印象に残る方が多く快作と言って良いと思う。

しかしながら、コメント部分にも書いた通り、ストーリーの核の部分とキーシーンによく似たものを持つ先行作のざらついた印象がどうにも記憶から引きずり出されて本作と比較し続けてしまう状態にも陥った。

先行作とはナ・ホンジンの『哭声』である。

神学論争というか神が悪魔で悪魔が神でというような、ただただ観客を混乱させるストーリーとシャーマニズムの高揚感と國村隼の圧倒的説得力で観客を打ちのめしてくる哭声が頭に出てきてしまうと、本作が全体的にマイルドに見えてしまうのである。

それが本作の評価を下げるという事ではないのだが、ストーリーへの没入感はあまりなかったことは付け加えておきたい。

残穢』もそうだったが怪異の「正体」を提示しない流れが今の日本ホラーの潮流になってきているのかなという事も感じた鑑賞であった。

(2018.12.08 109シネマズ川崎)

(評価:★4)

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