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[コメント] アリー/スター誕生(2018/米)

ライブシーンはさすがの出来。それと比較するとストーリーが添え物になってしまっていて、映画としてのドライブがかかりきらないのが残念。
Master

**ネタバレ注意**
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本作の場合、まず絶対的に守らなければならないのが主演の2人が芸能の世界で成功する(している)という肝の部分に疑いを持たれない事である。俳優・女優であれば結果を提示すれば良いが、歌手にした場合、歌が下手、ライブパフォーマンスが目も当てられない、曲の出来が悪いといったような状態をそのまま提示する訳にはいかず、かつ、これらを端折った場合、頭に残り続けて没入を妨げてしまう。

これに関するケアは完璧。主題歌「Shallow」は現実にグラミー賞にノミネートされているほどである。パフォーマンスにしてもレディー・ガガを据えている事が功を奏しており、とんとん拍子に階段を駆け上がっていく様に違和感がない。

しかしながら、この話自体が4回目の映画化という事もあってか、ストーリーがあまりにあっさりとしすぎている。ジャック(ブラッドリー・クーパー)など登場人物のパーソナリティーも「お分かりでしょ?」と言わんばかりに必要最低限の情報のみで進めていくし、彼の焦りや失望感、それに基づくアリーとの衝突も申し訳程度に提示されるに留まって、ラストシーンでのアリーの「ライブ」が本来届くべき感情の高ぶりに到達しないままに終わってしまう。この点『ボヘミアン・ラプソディ』が、ライブエイドの再現シーンで観客の感情を完全に解放するのに成功したことを直前に見せつけられているため、幾分かの落胆を感じたのは否めない。

キャストの演技が悪いという事はなく、「添え物」とは言えストーリーにも破たんはないので、日本における「忠臣蔵」みたいな位置づけの作品という認識であれば、特に問題なく楽しめるとは思う。

この意味では想像と違ったが、及第点ではあるとは言えよう。

(2018.12.21 シネプラザサントムーン)

(評価:★3)

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