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[コメント] アフターショック(2012/米=チリ)

チリで地震でゴアゴア不謹慎大パニック!と思ってたら思いの外生真面目な映画でちょっと驚いた。
MSRkb

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







新文芸坐のオールナイト四本立てで見たのだが、この映画が一本目。で、これが終わった後にロビーで、男女三人くらいで見に来ていたたぶん大学生くらいの男子が「マジきつい……ほんとつらい、ちょっと休みたい」と言っていたのが印象的。少なくともその程度には生真面目な映画だった。

登場人物が皆、どこか傲慢だったり厭な部分があるのだが、それは俗世の人間であれば誰しも少なからず持っているであろう部分で、「嫌味な奴が酷い目に遭う」というホラー映画のクリシェ的なものからは微妙に外れる。実際、大地震後の混乱で彼ら彼女らは平穏だったときの自らの行いを悔いるのだ(地震前のちょっとした行動が遠因となって危機に陥ったりする)。だが、悔いたところで助かったりはしない。そして彼ら彼女らを襲う悪役的存在たちも、どうしようもない外道として描かれるかと思えば、ふと、そんな彼らにも仲間の、家族の絆と思いやり(まあ厭な感じの思いやりですが)があるのだ、ということを後景でさらっと描いてみたりする。その手つきがなんとも生真面目で、ゴアゴア不謹慎パニック映画だぜーウェ〜イ!! くらいの気分で半笑いで見始めると、なんていうかズシンと胃に重いの一発くらう感じで……。

いやね、実際のところ俺は大地震でゴアゴア大パニック! みたいな映画はまだちょっとキツいから見たくないな……と思っていたのだが(オールナイト4本立てで他に見たいのがあったので、あまり気分が乗らずに見たというのが本当のところだ)、いざ見てみたらこんな感じなので、なおさら複雑な気分になってしまった。ていうか俺、どうもイーライ・ロスが好きになれないのってこういうところで、ゴアゴア不謹慎ウェ〜イ!!みたいなセンセーショナルなテイで宣伝とかするくせに、映画自体は妙に生真面目なところがあったりするんだよね(本作は監督ではないけど)。もうそういうところほんとイヤ! 露悪趣味の優等生め!

(2014.10.12 新文芸坐「シッチェス・ファンタ2013“復讐”オールナイト」にて鑑賞)

(評価:★3)

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