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[コメント] リトル・ミス・サンシャイン(2006/米)

何気ない描写、セリフが本当に素晴らしい。迷惑や面倒に感じながらお互いに憎めないし大切、っていう雰囲気が見ていて心地よいし、何より押し付けがましさが全くない。
agulii

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えば、おじいちゃんと伯父の関係。最初、おじいちゃんは伯父を「ホモ野郎」と罵る。車の中ではおじいちゃんの話に伯父はなんとなく話をあわせる。そうすると、おじいちゃんは気をよくし、店に寄ったとき「この金でエロ本を買って来い。ゲイ雑誌も買ってくるといい」と言う。

このシーンはおじいちゃんなりの気遣いを感じるし、最初に罵ったことへの和解を申し入れているようで好きなシーンだ。こういうやり方でしか和解を申し入れられないんだろうなぁ、というおじいちゃんの性格も、それを汲み取ってか素直に買いに行く伯父の優しさのどちらも愛おしくなる。

同時に、そういう性格が災いしておじいちゃんは老人ホームを追い出されてしまったし、そこまで汲み取れるほど繊細だから伯父さんは自殺未遂をすることになったんだろうなぁと登場人物への理解も深まる。

ここには書ききれないが、全編が上記のような丁寧な描写であふれている。 他にお気に入りのシーンはレストランでアイスを食べるシ−ン。みんな嫌いだ、っていう兄もなんだかんだいって妹思いじゃんって思えていい。

丁寧なだけの描写は分析するにはいいけど退屈しがちだが、ユーモアが交えられてるから、笑いながら鑑賞することができる。エンターテイメントってある程度大味なつくりにしないと成り立たないという印象があったけど、こんな繊細な作風で思いっきり笑わせてくれるんだなぁっていうのに純粋に驚かされたぞ。

(評価:★4)

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